(秀)政二・れいこ・由紀子(佳)ちえみ・澄子・むさし
失礼と無礼にかける味の素
小林茂子(岡山県岡山市)
◆準賞(10点)
(特)れいこ(佳)政二・由紀子・ちえみ・澄子・むさし
めぐすりがれいのかたちでおちてくる 笹田かなえ(青森県)
【8点】 | ||
(特)むさし(秀)政二 | ||
例外のない一日だった手を洗う | 新潟県 | 夏井せいじ |
【7点】 | ||
(秀)れいこ・ちえみ(佳)由紀子 | ||
広東風れいこさん的昼下がり | 青森県 | 土田雅子 |
(秀)ちえみ(佳)政二・れいこ・澄子・むさし | ||
プレパラートにはさむ紫色の霊 | 愛媛県 | 大内せつ子 |
【6点】 | ||
(特)澄子(佳)政二 | ||
これをもちましてしきをとじます 礼 | 青森県 | 小野五郎 |
(特)政二(佳)むさし | ||
敬礼のままお月さま泣いている | 静岡県 | 句ノ一 |
(特)ちえみ(佳)由紀子 | ||
オカッパノレイコレイワノイチリンシャ | 福島県 | 中野敦子 |
【5点】 | ||
(特)由紀子 | ||
零の穴へイチゴジャム詰めさぁパーティー | 愛媛県 | 山内房子 |
(秀)ちえみ(佳)由紀子・むさし | ||
オクラホマミクサは例年通り小雨決行 | 愛媛県 | 高橋こう子 |
(秀)澄子(佳)政二・由紀子 | ||
綺麗だと言われきれいを光らせる | 奈良県 | 目黒友遊 |
(秀)れいこ(佳)由紀子・ちえみ | ||
コロンボのレインコートを叩き売り | 秋田県 | 佐藤春子 |
(佳)政二・れいこ・由紀子・ちえみ・むさし | ||
れいとしてあなたを上げておきました | 奈良県 | ひとり静 |
【4点】 | ||
(秀)澄子(佳)ちえみ | ||
例のアレですねと春の隙間から | 鳥取県 | 平尾正人 |
(秀)政二(佳)むさし | ||
オルガンに合わせて礼をする桜 | 愛知県 | 松長一歩 |
(秀)由紀子(佳)澄子 | ||
令よ和よ泣くなロミオとジュリエット | 愛知県 | 丸山 進 |
(秀)むさし(佳)政二 | ||
冷蔵庫四角い夜が立っている | 高知県 | 小野善江 |
(秀)政二(佳)れいこ | ||
樹齢千年笑えたぶんが伸びたぶん | 青森県 | 千葉風樹 |
(秀)れいこ(佳)由紀子 | ||
霊験あらかた使い果たして桃 | 京都府 | 内田真理子 |
(秀)澄子(佳)れいこ | ||
ごらんなさいまし冷却水の塔 | 鳥取県 | 斉尾くにこ |
(秀)むさし(佳)政二 | ||
消しゴムは必要でしょう令和とて | 岩手県 | 熊谷岳朗 |
(秀)由紀子(佳)むさし | ||
れいというルビに振り回されました | 青森県 | 尾上 宏 |
(秀)れいこ(佳)政二 | ||
例文として零れ落つ萩の花 | 徳島県 | 徳長 怜 |
(秀)ちえみ(佳)むさし | ||
返礼の桃の種から芽生えたの | 北海道 | 木暮健一 |
(秀)むさし(佳)ちえみ | ||
粘っこいレイが戻って来やがった | 島根県 | 石橋芳山 |
(秀)澄子(佳)由紀子 | ||
レイザバレルの標的は三ツ矢サイダー | 愛知県 | 蝶 |
(佳)政二・れいこ・ちえみ・むさし | ||
例文のどれもが青みがかっている | 滋賀県 | 北村幸子 |
(佳)由紀子・ちえみ・澄子・むさし | ||
つぶつぶは例のところにありました | 静岡県 | 中前棋人 |
(佳)れいこ・ちえみ・澄子・むさし | ||
冷静にあなたの黒を脱ぐんだよ | 福井県 | 天谷由紀子 |
【3点】 | ||
(秀)むさし | ||
漢字から戦 ひらがなかられいわ | 大阪府 | 荻野浩子 |
(秀)由紀子 | ||
セ氏0度アジの開きにさも似たり | 青森県 | 熊谷冬鼓 |
(秀)ちえみ | ||
起立礼着席なんきんたますだれ | 福岡県 | 柴田美都 |
(秀)政二 | ||
幽霊になるまで少しお待ちあれ | 青森県 | まみどり |
(秀)澄子 | ||
柩までの通過儀礼をスルーする | 愛媛県 | 村山浩吉 |
(秀)むさし | ||
午前0時違う私が起き上がる | 青森県 | 村上あつこ |
(秀)由紀子 | ||
泣いたのは狼少女異例です | 北海道 | 河野潤々 |
(佳)政二・由紀子・ちえみ | ||
ぐんにゃりと綺麗に歪むふかみどり | 愛媛県 | 郷田みや |
(佳)れいこ・由紀子・澄子 | ||
5mmずつちぢんで零で消えるはず | 高知県 | 萩原良子 |
(佳)政二・澄子・むさし | ||
礼儀正しく悲鳴をあげて生きている | 青森県 | 坂本清乃 |
(佳)由紀子・ちえみ・澄子 | ||
求愛のダンスの例にされまして | 京都府 | 森田律子 |
(佳)れいこ・ちえみ・むさし | ||
通りすがりのきれいな穴 に落ちる | 秋田県 | 一 帆 |
(佳)政二・れいこ・ちえみ | ||
れいが宿ると滑る針先 | 大阪府 | 笠嶋恵美子 |
(佳)政二・れいこ・澄子 | ||
一礼をして摩周湖に消えてゆく | 北海道 | 澤野優美子 |
(佳)れいこ・ちえみ・澄子 | ||
朝焼けじみた夕焼けじみたレイアウト | 愛媛県 | 中西 亜 |
(佳)政二・由紀子・澄子 | ||
姉さんの礼儀正しきアミダ籤 | 愛知県 | 中川喜代子 |
(佳)れいこ・ちえみ・澄子 | ||
鮮やかなれいを残して水になる | 京都府 | 蟹口和枝 |
(佳)政二・澄子・むさし | ||
擂り鉢の溝へ令和をお連れする | 北海道 | 高橋 蘭 |
(佳)政二・れいこ・むさし | ||
礼服に雨の匂いのする記憶 | 青森県 | 須藤しんのすけ |
(佳)れいこ・ちえみ・澄子 | ||
れいちゃんに水色を読み聞かせ中 | 徳島県 | 徳長 怜 |
(佳)由紀子・ちえみ・むさし | ||
アブラカタブラ失礼ですが消えますよ | 愛知県 | 伊賀武久 |
(佳)政二・れいこ・ちえみ | ||
れいこさんがにっこりとした こわい | 兵庫県 | 中西南子 |
【2点】 | ||
(佳)れいこ・ちえみ | ||
赤ちゃんはレインシューズでやって来る | 神奈川県 | 加藤ゆみ子 |
(佳)澄子・むさし | ||
慣例にしたがい否認から黙秘 | 青森県 | 濱山哲也 |
(佳)政二・ちえみ | ||
なるようになるさと鈴を振りに振る | 大阪府 | 嶋澤喜八郎 |
(佳)れいこ・むさし | ||
例えればソーラーパネルと月見草 | 青森県 | 熊谷冬鼓 |
(佳)政二・ちえみ | ||
いい例があると言われたダンゴムシ | 兵庫県 | 村井広子 |
(佳)由紀子・澄子 | ||
例文・背骨がもうだめなのです | 大阪府 | 竹井 紫乙 |
(佳)由紀子・ちえみ | ||
つまんないつまんないつまんない れい | 大阪府 | 徳山泰子 |
(佳)政二・むさし | ||
誰かを想うとてもきれいな時間です | 京都府 | 西田雅子 |
(佳)由紀子・澄子 | ||
そこそこのそこらあたりの霊柩車 | 福岡県 | 柴田美都 |
(佳)由紀子・ちえみ | ||
号令がかかった合羽いるだろう | 石川県 | 奥野とみ子 |
(佳)政二・由紀子 | ||
「冷っ」と水がずれたでしょ見えるでしょ | 東京都 | 伊藤こうか |
(佳)れいこ・澄子 | ||
秘めやかに返戻される夜の裏 | 京都府 | 蟹口和枝 |
(佳)れいこ・由紀子 | ||
父さまは近ごろ薄れゆくきれい | 愛知県 | 瀧村小奈生 |
(佳)政二・むさし | ||
一礼をする飛べそうな気がします | 京都府 | 和田洋子 |
(佳)れいこ・むさし | ||
冷蔵庫の八分音符や四分音符 | 福井県 | 天谷由紀子 |
(佳)政二・ちえみ | ||
一礼をされてほたるが胸に来た | 長野県 | 丸山健三 |
(佳)政二・由紀子 | ||
「れ」と「い」とのその真ん中の弱酸性 | 大阪府 | 雨森茂喜 |
(佳)れいこ・由紀子 | ||
いろはかられいの2文字が逢いに来る | 愛知県 | 安井紀代子 |
(佳)政二・由紀子 | ||
麗の字をちゃんと書いてと持ってくる | 滋賀県 | 大橋啓子 |
(佳)れいこ・澄子 | ||
阿と吽も礼も無礼も気候危機 | 愛知県 | 三好光明 |
(佳)政二・れいこ | ||
きりつれいそらは今でもうすぐもり | 愛知県 | 猫田 千恵子 |
(佳)ちえみ・むさし | ||
ジッパーが笑う失礼な礼服 | 青森県 | きさらぎ彼句吾 |
(佳)由紀子・澄子 | ||
シェアしませんかフィジーモルディブセブ冷気 | 愛媛県 | 中西 亜 |
(佳)れいこ・むさし | ||
号令が聞こえる向日葵の背後 | 大阪府 | 本多洋子 |
(佳)由紀子・澄子 | ||
令月や白夜に落ちた生卵 | 奈良県 | 中村せつこ |
(佳)政二・むさし | ||
私を母にした子に礼を言う | 大阪府 | 里山はるえ |
(佳)由紀子・ちえみ | ||
事例1崩れた崖の柿一つ | 愛媛県 | 仙波草苑 |
(佳)れいこ・ちえみ | ||
レインボーバスきみをたすけにゆくところ | 秋田県 | 佐渡真紀子 |
(佳)政二・むさし | ||
黒板とチョークの匂い起立 れい | 愛媛県 | 青野 舞 |
(佳)れいこ・ちえみ | ||
しばらくは冷凍イカで暮らすことに | 青森県 | 吉見恵子 |
(佳)政二・れいこ | ||
わたくしも零度で凍り始めます | 愛媛県 | 鎌倉俊一 |
(佳)れいこ・澄子 | ||
羽付けて例の如くを飛び越える | 高知県 | 森乃鈴 |
(佳)澄子・むさし | ||
辞令なら芋焼酎で中和した | 静岡県 | 渡辺遊石 |
(佳)ちえみ・むさし | ||
失礼ね 監視カメラが視ています | 岩手県 | 熊谷岳朗 |
(佳)政二・むさし | ||
令和元年今朝もしっかり歯を磨く | 青森県 | ひとは |
【1点】 | ||
(佳)澄子 | ||
腸のきれいな人と行く彼岸 | 福井県 | 奥村美枝子 |
(佳)ちえみ | ||
きりつれいいすとりゲームいまかきょう | 新潟県 | 谷沢けい子 |
(佳)むさし | ||
レイ掛けてください わたしの晒し首 | 香川県 | 嶋村 幸 |
(佳)由紀子 | ||
こんなれいどっでっしゃろか 黄身つぶす | 静岡県 | 米山明日歌 |
(佳)れいこ | ||
いいね押すレレレおじさんから後光 | 愛知県 | 丸山 進 |
(佳)澄子 | ||
れいれいしい挨拶状が届く 夜 | 青森県 | 村上てる |
(佳)澄子 | ||
冷泉の底にゆうべを沈めるね | 北海道 | 四ツ屋いずみ |
(佳)むさし | ||
起立 礼 昭和も遠くなっちゃった | 長野県 | 小池孝一 |
(佳)むさし | ||
右側に君 霊感はないけれど | 愛媛県 | 吉原美佐 |
(佳)政二 | ||
お礼などいらない生きていますから | 佐賀県 | 美高けい |
(佳)ちえみ | ||
最近れいしてる?週2くらいかな | 大阪府 | 雨森茂喜 |
(佳)澄子 | ||
寒冷地仕様の人がみつからぬ | 青森県 | 渡邊こあき |
(佳)由紀子 | ||
モーマクサラマンダー礼儀は礼儀 | 青森県 | 奈良一艘 |
(佳)澄子 | ||
お礼にひとつ黄昏ひとつどうぞどうぞ | 滋賀県 | 安井茂樹 |
(佳)むさし | ||
まだ駆ける齢はゆっくり追ってこい | 愛知県 | 稲垣康江 |
(佳)由紀子 | ||
れいわヤーイ まだ肛門へ届かない | 北海道 | 木暮健一 |
(佳)澄子 | ||
ふくろうの礼砲響く骨董屋 | 兵庫県 | 河内谷恵 |
(佳)れいこ | ||
こんなんが霊長類の頂点で | 青森県 | 斎藤早苗 |
(佳)澄子 | ||
褐色のオウムがレイの歌だった | 長野県 | 西沢葉火 |
(佳)むさし | ||
きりつ・れい戦前戦後引き連れて | 青森県 | まきこ |
(佳)れいこ | ||
守護霊のれいで巻き舌する決まり | 東京都 | 飯島章友 |
(佳)むさし | ||
逝く先はほうれい線の先にある | 福岡県 | もりともみち |
(佳)澄子 | ||
男鹿半島で水の御礼を思いつく | 北海道 | 澤野優美子 |
(佳)ちえみ | ||
冷静に歪んでいますスピーカー | 滋賀県 | 大谷のり子 |
(佳)むさし | ||
冷凍の秋刀魚の腸と発泡酒 | 和歌山県 | 木本朱夏 |
(佳)れいこ | ||
充電が0%骨となる | 愛知県 | 丹下純 |
(佳)澄子 | ||
さびしくて絶対零度から発火 | 兵庫県 | 妻木寿美代 |
(佳)由紀子 | ||
例によりでんでんむしの薄化粧 | 滋賀県 | 重森恒雄 |
(佳)政二 | ||
私はわたし高齢者なんて言わないで | 青森県 | 葉 閑女 |
(佳)澄子 | ||
起立 礼 着席は未だ許されず | 宮城県 | 須川柊子 |
(佳)ちえみ | ||
共犯者レとイは今も逃走中 | 秋田県 | 佐藤春子 |
(佳)れいこ | ||
巻き舌であーる令和にもR | 愛知県 | 猫田 千恵子 |
(佳)れいこ | ||
礼拝堂の猫は燃え尽き症候群 | 青森県 | 鳴海賢治 |
(佳)政二 | ||
妻に礼先にあの世で待っている | 静岡県 | 柳谷益弘 |
(佳)ちえみ | ||
御礼に黒子ひとつを差し上げる | 青森県 | 船水葉 |
(佳)れいこ | ||
自販機が礼儀正しくおもてなし | 愛媛県 | 大西進 |
(佳)ちえみ | ||
除霊したヒョウタンゴミムシの妙子 | 大阪府 | 小林康浩 |
(佳)由紀子 | ||
馬鈴薯のレゾンデートルヴィシソワーズ | 京都府 | 竹内知子 |
(佳)澄子 | ||
ややこしい浮世ゆゆしき冷蔵庫 | 兵庫県 | 妹尾凛 |
(佳)政二 | ||
零点のテスト用紙で折った鶴 | 長野県 | 興津幸代 |
(佳)れいこ | ||
零下二度ぬいぐるまれてころがりぬ | 愛知県 | 青砥和子 |
(佳)由紀子 | ||
やみくもに補虫網振る あれい型 | 大阪府 | 小川佳恵 |
(佳)澄子 | ||
落とし穴をとるか例外をとるか | 長野県 | 樹萄らき |
(佳)政二 | ||
八時十五分に黙礼するハト | 広島県 | 笹重耕三 |
(佳)むさし | ||
日日是好日 幽霊に足がある | 宮城県 | 須川柊子 |
(佳)れいこ | ||
穴を堀る月がきれいな夜だから | 福井県 | 奥村美枝子 |
(佳)澄子 | ||
凡例 推測読みをしています | 青森県 | 渡邊こあき |
(佳)ちえみ | ||
夕焼けのせんれい受けているザクロ | 京都府 | 西田雅子 |
(佳)ちえみ | ||
縦に振るしかない首レイを掛けられて | 鳥取県 | 平尾正人 |
(佳)由紀子 | ||
例題の×になる 私now | 京都府 | 河村啓子 |
(佳)澄子 | ||
こんな日はトカゲにゆるす無礼講 | 愛知県 | 土園映子 |
(佳)むさし | ||
二小節目のれいにモザイクをかける | 奈良県 | 岡谷 樹 |
(佳)ちえみ | ||
れい状にアートネイルが四苦八苦 | 愛媛県 | 本田醇子 |
(佳)由紀子 | ||
素ウドン一杯分しかない令和 | 秋田県 | 田久保亜蘭 |
(佳)ちえみ | ||
花むしろ敷いてれいさん呼んでみる | 北海道 | 嶺岸柳舟 |
(佳)澄子 | ||
れいれいれい隙間が青白く腐る | 東京都 | 藤田めぐみ |
(佳)由紀子 | ||
礼服のボタン外して六道へ | 青森県 | 夏草ふぶき |
(佳)ちえみ | ||
満員御礼ついに私を暴露する | 青森県 | まみどり |
(佳)むさし | ||
ジョバンニを零番線で待っている | 青森県 | 中村誠子 |
(佳)れいこ | ||
そののちの母のきれいな蝸牛管 | 愛知県 | 瀧村小奈生 |
(佳)むさし | ||
手をつなぐレイ・チャールズのファソラシド | 青森県 | 成田我楽 |
(佳)澄子 | ||
そうなんだほぼ夢なんだれいなんだ | 愛媛県 | 土居新山 |
(佳)ちえみ | ||
ブローチにするわね骨になったれい | 東京都 | 藤田めぐみ |
(佳)むさし | ||
巡礼の杖が夕凪色になる | 愛媛県 | 高畑俊正 |
(佳)澄子 | ||
前例が無いのでれいをつくります | 愛媛県 | 柳田かおる |
(佳)政二 | ||
「起立れい」叫んだころの甘酸っぱさ | 北海道 | 酒井麗水 |
(佳)むさし | ||
ドギマギはしないあなたの加齢臭 | 愛媛県 | 山本 毅 |
(佳)政二 | ||
実体に零を掛けたら消えました | 静岡県 | 柳谷益弘 |
(佳)由紀子 | ||
起立、礼腰はわかってきたのです | 大阪府 | 小原由佳 |
(佳)れいこ | ||
0に似て観音様の立ち姿 | 愛知県 | 今村美根子 |
(佳)由紀子 | ||
墨の香のれいが迷子の令和です | 大阪府 | 里山はるえ |
(佳)政二 | ||
休業中の純喫茶には麗子像 | 石川県 | 藤村容子 |
(佳)ちえみ | ||
たとえれば根性なしの明太子 | 北海道 | 浪越靖政 |
(佳)れいこ | ||
令月のつっかい棒の寸足らず | 滋賀県 | 重森恒雄 |
(佳)澄子 | ||
最敬礼象のうんこよサバンナよ | 愛知県 | 中川喜代子 |
(佳)由紀子 | ||
0・一のリビドー自衛隊 | 愛媛県 | 正岡鏡花 |
(佳)ちえみ | ||
無礼など知る由もないスイトピー | 愛媛県 | 青野 舞 |
(佳)れいこ | ||
これからも宜しくたのむ 冷蔵庫 | 青森県 | 吉田吹喜 |
(佳)政二 | ||
冷戦になったわたしと私と | 青森県 | 中村誠子 |
(佳)れいこ | ||
銀の月夜は霊苑のカーニバル | 鳥取県 | 斉尾くにこ |
(佳)政二 | ||
あなたさまはしつれいですがどなたかな | 東京都 | 上原稔 |
(佳)れいこ | ||
おれい状一〇〇枚鳥になる 今宵 | 石川県 | 表よう子 |
(佳)政二 | ||
あしたも黙礼 神様仏様 | 青森県 | 鳴海賢治 |
(佳)由紀子 | ||
起立礼ごきげんようとチューリップ | 和歌山県 | 木本朱夏 |
(佳)れいこ | ||
名前でず目礼だけの交差点 | 青森県 | 稲見則彦 |
(佳)政二 | ||
反芻をしてもれいには味がない | 愛媛県 | 土居新山 |
(佳)由紀子 | ||
恋 壱壱零零壱零零 墓 | 岡山県 | 藤井智史 |
(佳)由紀子 | ||
冷笑なホホホに薔薇の棘フフフ | 広島県 | 笹重耕三 |
(佳)むさし | ||
真相は0番線に着いてから | 静岡県 | 渡辺遊石 |
(佳)澄子 | ||
麗の字が恐竜になる夏休み | 東京都 | 飯島章友 |
(佳)由紀子 | ||
零・霊・麗 揺すれば落ちてきた欠片 | 滋賀県 | 畑山美幸 |
(佳)政二 | ||
月がきれいで零にもどってみたくなる | 滋賀県 | 安井茂樹 |
(佳)むさし | ||
失礼してナマケモノになります | 静岡県 | 中前棋人 |
(佳)ちえみ | ||
ボクは今幽霊船の航海士 | 青森県 | 稲見則彦 |
(佳)澄子 | ||
無礼ですここはあなたの空ですか | 福井県 | 酒井暁美 |
(佳)政二 | ||
れいからの便りスリッパ履いてます | 大阪府 | 谷口義 |
(佳)由紀子 | ||
110休耕田に鷺がいる | 青森県 | 成田我楽 |
岩間啓子・木暮健一・河野潤々・酒井麗水・澤野優美子・高橋 蘭・中村迷々亭・浪越靖政・嶺岸柳舟・四ツ屋いずみ
石澤はる子・稲見則彦・岩崎眞里子・尾上 宏・小野五郎・菊池 京・きさらぎ彼句吾・熊谷冬鼓・斎藤早苗・坂本清乃・笹田かなえ・笹田隆志・佐藤武・沢田百合子・滋野さち・鈴木みさを・須藤しんのすけ・髙瀨霜石・髙橋せい子・髙森一呑・千葉かほる・千葉風樹・土田雅子・常田チャコ・中村誠子・夏草ふぶき・奈良一艘・成田我楽・鳴海賢治・にじの真美・野里風情・濱山哲也・ひとは・船水葉・まきこ・まみどり・三浦蒼鬼・三浦清雪・村上あつこ・村上てる・守田啓子・山野茶花子・葉 閑女・吉田吹喜・吉見恵子・渡邊こあき・渡邊寂隆・綿谷夕雨子
加差野静浪・熊谷岳朗
勝又明城・須川柊子・ちだこうじ
赤石ゆう・一 帆・佐々木智恵子・佐藤春子・佐渡真紀子・田久保亜蘭
中野敦子
伊藤正美
岡村水無月・野邊富優葉・細川岩男
岩田忠・老沼正一
飯島章友・伊藤こうか・伊藤三十六・上原稔・上村脩・藤田めぐみ・山田こいし
加藤ゆみ子・芝岡勘右衛門・ながたまみ
新井笑葉・谷沢けい子・夏井せいじ・星井五郎
石倉多美子・岡本聡・奥野とみ子・表よう子・中川洋子・藤村容子・宮田喜美子
天谷由紀子・奥村美枝子・酒井暁美・みつ木もも花
加藤当白
興津幸代・小池孝一・樹萄らき・西沢葉火・丸山健三
早川柚香
句ノ一・中前棋人・柳谷益弘・米山明日歌・渡辺遊石
青砥和子・安藤なみ・伊賀武久・稲垣康江・今村美根子・川崎敏明・佐藤美千代・瀧村小奈生・丹下純・蝶・土園映子・中川喜代子・西村寛子・猫田千恵子・林泰行・松長一歩・丸山 進・三好光明・安井紀代子・吉田修三
小川はつこ・小河柳女・山口亜都子
大谷のり子・大橋啓子・北村幸子・重森恒雄・嶌清五郎・鈴木紀子・中島順子・畑山美幸・原茂幸・村片芳子・安井茂樹
岩根彰子・内田真理子・蟹口和枝・河村啓子・竹内知子・谷口文・西田雅子・森田律子・山本知佳子・和田洋子
浅井ゆず・雨森茂喜・上嶋幸雀・オカダキキ・小川佳恵・荻野浩子・小原由佳・笠嶋恵美子・川田由紀子・小林康浩・里山はるえ・嶋澤喜八郎・田口和代・竹井紫乙・谷口義・寺川弘一・徳山泰子・平井美智子・弘津秋の子・本多洋子・宮井いずみ
河内谷恵・末盛ひかる・杉浦まりこ・妹尾凛・妻木寿美代・中西南子・村井広子・山元三恵子
板垣孝志・太田のりこ・岡谷 樹・きむらまさこ・中村せつこ・ひとり静・目黒友遊
木本朱夏
斉尾くにこ・平尾正人
石橋芳山
木下草風・小林茂子・しばたかずみ・永見心咲・福力明良・藤井智史
笹重耕三
徳長 怜
嶋村 幸
青野 舞・大内せつ子・大西進・鎌倉俊一・栗田忠士・郷田みや・仙波草苑・高市すみこ・高橋こう子・高畑俊正・田中なお・土居新山・中西 亜・林マキ子・星野美根子・本田醇子・正岡鏡花・三宅淳子・村山浩吉・柳田かおる・山内房子・山内もとこ・山之内さち枝・山本 毅・吉原美佐
小野善江・立花末美・萩原良子・森乃鈴
柴田美都・もりともみち
美高けい
いわさき楊子・阪本ちえこ
平瀬芙蓉
計241名
佳作44 | れいからの便りスリッパ履いてます | 大阪府 | 谷口 義 |
佳作43 | 令和元年今朝もしっかり歯を磨く | 青森県 | ひとは |
佳作42 | 月がきれいで零にもどってみたくなる | 滋賀県 | 安井茂樹 |
佳作41 | 麗の字をちゃんと書いてと持ってくる | 滋賀県 | 大橋啓子 |
佳作40 | 一礼をされてほたるが胸に来た | 長野県 | 丸山健三 |
佳作39 | 反芻をしてもれいには味がない | 愛媛県 | 土居新山 |
佳作38 | あしたも黙礼 神様仏様 | 青森県 | 鳴海賢治 |
佳作37 | あなたさまはしつれいですがどなたかな | 東京都 | 上原稔 |
佳作36 | 冷戦になったわたしと私と | 青森県 | 中村誠子 |
佳作35 | 例文として零れ落つ萩の花 | 徳島県 | 徳長 怜 |
佳作34 | 休業中の純喫茶には麗子像 | 石川県 | 藤村容子 |
佳作33 | 「れ」と「い」とのその真ん中の弱酸性 | 大阪府 | 雨森茂喜 |
佳作32 | 実体に零を掛けたら消えました | 静岡県 | 柳谷益弘 |
佳作31 | 「起立れい」叫んだころの甘酸っぱさ | 北海道 | 酒井麗水 |
佳作30 | 綺麗だと言われきれいを光らせる | 奈良県 | 目黒友遊 |
佳作29 | 姉さんの礼儀正しきアミダ籤 | 愛知県 | 中川喜代子 |
佳作28 | 一礼をして摩周湖に消えてゆく | 北海道 | 澤野優美子 |
佳作27 | 礼服に雨の匂いのする記憶 | 青森県 | 須藤しんのすけ |
佳作26 | れいこさんがにっこりとした こわい | 兵庫県 | 中西南子 |
佳作25 | わたくしも零度で凍り始めます | 愛媛県 | 鎌倉俊一 |
佳作24 | めぐすりがれいのかたちでおちてくる | 青森県 | 笹田かなえ |
佳作23 | 八時十五分に黙礼するハト | 広島県 | 笹重耕三 |
佳作22 | 零点のテスト用紙で折った鶴 | 長野県 | 興津幸代 |
佳作21 | 擂り鉢の溝へ令和をお連れする | 北海道 | 高橋 蘭 |
佳作20 | れいが宿ると滑る針先 | 大阪府 | 笠嶋恵美子 |
佳作19 | 妻に礼先にあの世で待っている | 静岡県 | 柳谷益弘 |
佳作18 | 黒板とチョークの匂い起立 れい | 愛媛県 | 青野 舞 |
佳作17 | 私を母にした子に礼を言う | 大阪府 | 里山はるえ |
佳作16 | 私はわたし高齢者なんて言わないで | 青森県 | 葉 閑女 |
佳作15 | 消しゴムは必要でしょう令和とて | 岩手県 | 熊谷岳朗 |
佳作14 | 礼儀正しく悲鳴をあげて生きている | 青森県 | 坂本清乃 |
佳作13 | きりつれいそらは今でもうすぐもり | 愛知県 | 猫田千恵子 |
佳作12 | プレパラートにはさむ紫色の霊 | 愛媛県 | 大内せつ子 |
佳作11 | 「冷っ」と水がずれたでしょ見えるでしょ | 東京都 | 伊藤こうか |
佳作10 | 例文のどれもが青みがかっている | 滋賀県 | 北村幸子 |
佳作9 | これをもちましてしきをとじます 礼 | 青森県 | 小野五郎 |
佳作8 | れいとしてあなたを上げておきました | 奈良県 | ひとり静 |
佳作7 | お礼などいらない生きていますから | 佐賀県 | 美高けい |
佳作6 | 冷蔵庫四角い夜が立っている | 高知県 | 小野善江 |
佳作5 | いい例があると言われたダンゴムシ | 兵庫県 | 村井広子 |
佳作4 | 一礼をする飛べそうな気がします | 京都府 | 和田洋子 |
佳作3 | ぐんにゃりと綺麗に歪むふかみどり | 愛媛県 | 郷田みや |
佳作2 | なるようになるさと鈴を振りに振る | 大阪府 | 嶋澤喜八郎 |
佳作1 | 誰かを想うとてもきれいな時間です | 京都府 | 西田雅子 |
秀逸5 | 例外のない一日だった手を洗う | 新潟県 | 夏井せいじ |
秀逸4 | 失礼と無礼にかける味の素 | 岡山県 | 小林茂子 |
秀逸3 | 幽霊になるまで少しお待ちあれ | 青森県 | まみどり |
秀逸2 | 樹齢千年笑えたぶんが伸びたぶん | 青森県 | 千葉風樹 |
秀逸1 | オルガンに合わせて礼をする桜 | 愛知県 | 松長一歩 |
特選 | 敬礼のままお月さま泣いている | 静岡県 | 句ノ一 |
今回、課題が変わればこれだけ集まる句が変わるのかと驚いた。まるで雑詠のようだった。
また、考えるのも大変だったと思う。そのことが集まった句からも伝わってきた。だから、結果がどうなるのかと楽しみでもあった。
【秀逸】
例外のない一日だった手を洗う
課題からの「例外」が句を新しくしている。また、静かな「手を洗う」がいい。そして、なにもなかった一日をありがたく思い、日常を大切にする作者の心が伝わる。
失礼と無礼にかける味の素
「失礼」と「無礼」を現在とすれば、「味の素」世代は少し昔になる。その世代の余裕あるふるまいが書かれている。その結果はどうなるだろう。
幽霊になるまで少しお待ちあれ
「幽霊」はあくまで想像する人の心の中に存在する。だから「お待ちあれ」と言われても困ってしまう。迷惑と言えば迷惑だが、そこがおもしろい。
樹齢千年笑えたぶんが伸びたぶん
いろいろなことが起こるこの世だから、とにかく笑っていられる時代はいい。たよりないと思う人もいるかもしれないが、そうでない時代を経験している人ははっきりわかっている。
オルガンに合わせて礼をする桜
「オルガン」「礼」「桜」と並び、その時代をふり返る。子どもの頃の記憶は断片的だが、中でも「オルガン」の響きが耳に残っている。「桜」のように「礼」をしていたかもしれない。
【特選】
敬礼のままお月さま泣いている
まんまるいお月さんに父の姿が浮かぶ。なんとも言えない表情で「敬礼」をしている。
悔しかったであろう、無事帰り、家族と会いたかったであろうと思うと、泣けてくる。
佳作44 | れいこさんがにっこりとした こわい | 兵庫県 | 中西南子 |
佳作43 | わたくしも零度で凍り始めます | 愛媛県 | 鎌倉俊一 |
佳作42 | 号令が聞こえる向日葵の背後 | 大阪府 | 本多洋子 |
佳作41 | 羽付けて例の如くを飛び越える | 高知県 | 森乃 鈴 |
佳作40 | 礼服に雨の匂いのする記憶 | 青森県 | 須藤しんのすけ |
佳作39 | 名前でず目礼だけの交差点 | 青森県 | 稲見則彦 |
佳作38 | おれい状一〇〇枚鳥になる 今宵 | 石川県 | 表よう子 |
佳作37 | 銀の月夜は霊苑のカーニバル | 鳥取県 | 斉尾くにこ |
佳作36 | これからも宜しくたのむ 冷蔵庫 | 青森県 | 吉田吹喜 |
佳作35 | 令月のつっかい棒の寸足らず | 滋賀県 | 重森恒雄 |
佳作34 | きりつれいそらは今でもうすぐもり | 愛知県 | 猫田千恵子 |
佳作33 | 0に似て観音様の立ち姿 | 愛知県 | 今村美根子 |
佳作32 | 冷静にあなたの黒を脱ぐんだよ | 福井県 | 天谷由紀子 |
佳作31 | ごらんなさいまし冷却水の塔 | 鳥取県 | 斉尾くにこ |
佳作30 | いろはかられいの2文字が逢いに来る | 愛知県 | 安井紀代子 |
佳作29 | そののちの母のきれいな蝸牛管 | 愛知県 | 瀧村小奈生 |
佳作28 | しばらくは冷凍イカで暮らすことに | 青森県 | 吉見恵子 |
佳作27 | 阿と吽も礼も無礼も気候危機 | 愛知県 | 三好光明 |
佳作26 | 一礼をして摩周湖に消えてゆく | 北海道 | 澤野優美子 |
佳作25 | 穴を堀る月がきれいな夜だから | 福井県 | 奥村美枝子 |
佳作24 | れいちゃんに水色を読み聞かせ中 | 徳島県 | 徳長 怜 |
佳作23 | 零下二度ぬいぐるまれてころがりぬ | 愛知県 | 青砥和子 |
佳作22 | 通りすがりのきれいな穴 に落ちる | 秋田県 | 一 帆 |
佳作21 | 朝焼けじみた夕焼けじみたレイアウト | 愛媛県 | 中西 亜 |
佳作20 | 自販機が礼儀正しくおもてなし | 愛媛県 | 大西 進 |
佳作19 | 礼拝堂の猫は燃え尽き症候群 | 青森県 | 鳴海賢治 |
佳作18 | 巻き舌であーる令和にもR | 愛知県 | 猫田千恵子 |
佳作17 | 鮮やかなれいを残して水になる | 京都府 | 蟹口和枝 |
佳作16 | れいが宿ると滑る針先 | 大阪府 | 笠嶋恵美子 |
佳作15 | 充電が0%骨となる | 愛知県 | 丹下 純 |
佳作14 | 父さまは近ごろ薄れゆくきれい | 愛知県 | 瀧村小奈生 |
佳作13 | 樹齢千年笑えたぶんが伸びたぶん | 青森県 | 千葉風樹 |
佳作12 | 守護霊のれいで巻き舌する決まり | 東京都 | 飯島章友 |
佳作11 | レインボーバスきみをたすけにゆくところ | 秋田県 | 佐渡真紀子 |
佳作10 | こんなんが霊長類の頂点で | 青森県 | 斎藤早苗 |
佳作9 | プレパラートにはさむ紫色の霊 | 愛媛県 | 大内せつ子 |
佳作8 | 赤ちゃんはレインシューズでやって来る | 神奈川県 | 加藤ゆみ子 |
佳作7 | 冷蔵庫の八分音符や四分音符 | 福井県 | 天谷由紀子 |
佳作6 | 5mmずつちぢんで零で消えるはず | 高知県 | 萩原良子 |
佳作5 | 秘めやかに返戻される夜の裏 | 京都府 | 蟹口和枝 |
佳作4 | いいね押すレレレおじさんから後光 | 愛知県 | 丸山 進 |
佳作3 | 例文のどれもが青みがかっている | 滋賀県 | 北村幸子 |
佳作2 | れいとしてあなたを上げておきました | 奈良県 | ひとり静 |
佳作1 | 例えればソーラーパネルと月見草 | 青森県 | 熊谷冬鼓 |
秀逸5 | コロンボのレインコートを叩き売り | 秋田県 | 佐藤春子 |
秀逸4 | 失礼と無礼にかける味の素 | 岡山県 | 小林茂子 |
秀逸3 | 例文として零れ落つ萩の花 | 徳島県 | 徳長 怜 |
秀逸2 | 霊験あらかた使い果たして桃 | 京都府 | 内田真理子 |
秀逸1 | 広東風れいこさん的昼下がり | 青森県 | 土田雅子 |
特選 | めぐすりがれいのかたちでおちてくる | 青森県 | 笹田かなえ |
今年の題は破格であった。投句された方々はそうとう困ったり悩んだりしただろうと思う。選をするほうも同じように困ったり悩んだりした。あたまを抱えたまま最終的には雑詠のつもりで選に臨んだのだった。なんという題だ、まったく。
特選
めぐすりがれいのかたちでおちてくる
落ちてくる目薬の一滴を下から見上げた、その一瞬がスローモーションでイメージできた。脳が漢字に変換する、そんな時間さえないほんの瞬間のできごと。だから、全文ひらがななのだと思う。そこに意味はなく、感情でもなく、感覚でもない。ただ自分の目が捉えた映像だけが書かれているのに、写生でもない。なにものでもない一句。そこに強く惹かれた。
秀逸5
広東風れいこさん的昼下がり
「風」で「的」である。このテキトー感がいいなと思う。羽根のついた扇子を優雅に使う、チャイナドレスの女性の姿がつかのま浮かび、いやいや「風」で「的」なんだってばと思い返すと、女性は霧散するのだ。そしてただの雰囲気だけが残る。この雰囲気は好ましい。
秀逸4
霊験あらかた使い果たして桃
さいしょ「霊験あらたか」と読みちがえた。そして「あらかた、かいっ!」とツッコんだ。もうね、作者の思うつぼに嵌めてくださってありがとう。最後に放り出したように置かれた「桃」もいい。黄泉平坂から逃げる男神の必死さを思い出すではないか。
秀逸3
例文として零れ落つ萩の花
そうそ、例文なんてそんなもん。引いたそばからハラハラこぼれるものなのだ。という解釈と、実際の萩の花を「例文」と見立てたという解釈と。わたしは前者でいただいた。どちらにしても「例文」と「萩の花」の取り合わせはちょっとステキ。
秀逸2
失礼と無礼にかける味の素
味の素といえば中村冨二である、わたし的には。冨二の味の素は彼自身に降ったが、この味の素は相手にかけるのだ。理屈が勝っている気がしてそこがすこし気になるけれど、エスプリは効いている。
秀逸1
コロンボのレインコートを叩き売り
このバカバカしさは捨てがたい。なぜ「コロンボ」か、なぜ叩き売らなきゃいけいないのか。そもそもなんでそんなもの持ってるのか。わからないことだらけなのに、なぜか爽快感がある。叩き売るものとして「コロンボのレインコート」は正しいのではないだろうか。
佳作44 | 110休耕田に鷺がいる | 青森県 | 成田我楽 |
佳作43 | シェアしませんかフィジーモルディブセブ冷気 | 愛媛県 | 中西 亜 |
佳作42 | 零・霊・麗 揺すれば落ちてきた欠片 | 滋賀県 | 畑山美幸 |
佳作41 | 冷笑なホホホに薔薇の棘フフフ | 広島県 | 笹重耕三 |
佳作40 | 恋 壱壱零零壱零零 墓 | 岡山県 | 藤井智史 |
佳作39 | 起立礼ごきげんようとチューリップ | 和歌山県 | 木本朱夏 |
佳作38 | 令月や白夜に落ちた生卵 | 奈良県 | 中村せつこ |
佳作37 | 綺麗だと言われきれいを光らせる | 奈良県 | 目黒友遊 |
佳作36 | 広東風れいこさん的昼下がり | 青森県 | 土田雅子 |
佳作35 | 0・一のリビドー自衛隊 | 愛媛県 | 正岡鏡花 |
佳作34 | 墨の香のれいが迷子の令和です | 大阪府 | 里山はるえ |
佳作33 | 起立、礼腰はわかってきたのです | 大阪府 | 小原由佳 |
佳作32 | オカッパノレイコレイワノイチリンシャ | 福島県 | 中野敦子 |
佳作31 | オクラホマミクサは例年通り小雨決行 | 愛媛県 | 高橋こう子 |
佳作30 | れいとしてあなたを上げておきました | 奈良県 | ひとり静 |
佳作29 | 礼服のボタン外して六道へ | 青森県 | 夏草ふぶき |
佳作28 | 素ウドン一杯分しかない令和 | 秋田県 | 田久保亜蘭 |
佳作27 | 父さまは近ごろ薄れゆくきれい | 愛知県 | 瀧村小奈生 |
佳作26 | 例題の×になる 私now | 京都府 | 河村啓子 |
佳作25 | 号令がかかった合羽いるだろう | 石川県 | 奥野とみ子 |
佳作24 | 「冷っ」と水がずれたでしょ見えるでしょ | 東京都 | 伊藤こうか |
佳作23 | やみくもに補虫網振る あれい型 | 大阪府 | 小川佳恵 |
佳作22 | アブラカタブラ失礼ですが消えますよ | 愛知県 | 伊賀武久 |
佳作21 | 馬鈴薯のレゾンデートルヴィシソワーズ | 京都府 | 竹内知子 |
佳作20 | レイザバレルの標的は三ツ矢サイダー | 愛知県 | 蝶 |
佳作19 | めぐすりがれいのかたちでおちてくる | 青森県 | 笹田かなえ |
佳作18 | 姉さんの礼儀正しきアミダ籤 | 愛知県 | 中川喜代子 |
佳作17 | 霊験あらかた使い果たして桃 | 京都府 | 内田真理子 |
佳作16 | 例によりでんでんむしの薄化粧 | 滋賀県 | 重森恒雄 |
佳作15 | 事例1崩れた崖の柿一つ | 愛媛県 | 仙波草苑 |
佳作14 | いろはかられいの2文字が逢いに来る | 愛知県 | 安井紀代子 |
佳作13 | 求愛のダンスの例にされまして | 京都府 | 森田律子 |
佳作12 | つまんないつまんないつまんない れい | 大阪府 | 徳山泰子 |
佳作11 | 「れ」と「い」とのその真ん中の弱酸性 | 大阪府 | 雨森茂喜 |
佳作10 | れいわヤーイ まだ肛門へ届かない | 北海道 | 木暮健一 |
佳作9 | つぶつぶは例のところにありました | 静岡県 | 中前棋人 |
佳作8 | モーマクサラマンダー礼儀は礼儀 | 青森県 | 奈良一艘 |
佳作7 | コロンボのレインコートを叩き売り | 秋田県 | 佐藤春子 |
佳作6 | 例文・背骨がもうだめなのです | 大阪府 | 竹井紫乙 |
佳作5 | 5mmずつちぢんで零で消えるはず | 高知県 | 萩原良子 |
佳作4 | こんなれいどっでっしゃろか 黄身つぶす | 静岡県 | 米山明日歌 |
佳作3 | 麗の字をちゃんと書いてと持ってくる | 滋賀県 | 大橋啓子 |
佳作2 | ぐんにゃりと綺麗に歪むふかみどり | 愛媛県 | 郷田みや |
佳作1 | そこそこのそこらあたりの霊柩車 | 福岡県 | 柴田美都 |
秀逸5 | 泣いたのは狼少女異例です | 北海道 | 河野潤々 |
秀逸4 | 失礼と無礼にかける味の素 | 岡山県 | 小林茂子 |
秀逸3 | れいというルビに振り回されました | 青森県 | 尾上 宏 |
秀逸2 | セ氏0度アジの開きにさも似たり | 青森県 | 熊谷冬鼓 |
秀逸1 | 令よ和よ泣くなロミオとジュリエット | 愛知県 | 丸山 進 |
特選 | 零の穴へイチゴジャム詰めさぁパーティー | 愛媛県 | 山内房子 |
「れい」という題のせいか、近年まれにみるバラエティーに富んだ句が集まって、おおいに楽しませてもらえた。「れい」はほんのわずかなきっかけであり、情報であり、そこから自由にのびのびと羽ばたくことができる。その結果の表われだろう。それにしてもさまざまな、あまりにいろいろな「れい」が出没していて、さて、どこに焦点を当てようかと右往左往した。
そこで、マイブームに従うことにした。今の川柳のマイブームは既視感のないものである。見たことも聞いたこともないものが気に入っている。それならなんでもいいのかと言われそうだが、見飽きたものよりは、あたりまえのものよりはずっといいと思っている。意味内容でも仕立て方でも、既視感のない独自の工夫が施されているものを選んだ。
零の穴へイチゴジャム詰めさぁパーティー
言葉の流れにまず惹かれた。ブレーキをかけない言葉の運び方が新鮮だった。「零の穴」だから、何もないのか、〇だろうか。実際にどこかというよりは心象だろう。そんな空洞に赤い、甘い、イチゴジャムを詰める。イチゴジャムならば、穴にどんどん入っていく、穴を豊かに別物にしてくれそうである。そして、「さぁパーティー」。「さぁ」だから、出発で、これからである。「れい」のいう題と同様に、人はほんのわずかなきっかけによって、そこから自由にのびのびとはばたいていくことができる。そして、次の瞬間はなにをしでかすかわからない存在であるのが人間である。真摯で、それでいて滑稽な味わいがある。
令よ和よ泣くなロミオとジュリエット
セ氏0度アジの開きにさも似たり
れいというルビに振り回されました
失礼と無礼にかける味の素
泣いたのは狼少女異例です
どの句もいろいろと想像したり、解釈したり、するのをいざなってくれる楽しさがある。主観を押し付けないで、気づかないふりをしながらの、突き放し方がよかった。
佳作44 | レインボーバスきみをたすけにゆくところ | 秋田県 | 佐渡真紀子 |
佳作43 | ボクは今幽霊船の航海士 | 青森県 | 稲見則彦 |
佳作42 | れいこさんがにっこりとした こわい | 兵庫県 | 中西南子 |
佳作41 | 失礼と無礼にかける味の素 | 岡山県 | 小林茂子 |
佳作40 | 事例1崩れた崖の柿一つ | 愛媛県 | 仙波草苑 |
佳作39 | アブラカタブラ失礼ですが消えますよ | 愛知県 | 伊賀武久 |
佳作38 | 失礼ね 監視カメラが視ています | 岩手県 | 熊谷岳朗 |
佳作37 | 朝焼けじみた夕焼けじみたレイアウト | 愛媛県 | 中西 亜 |
佳作36 | 無礼など知る由もないスイトピー | 愛媛県 | 青野 舞 |
佳作35 | たとえれば根性なしの明太子 | 北海道 | 浪越靖政 |
佳作34 | 冷静にあなたの黒を脱ぐんだよ | 福井県 | 天谷由紀子 |
佳作33 | れいちゃんに水色を読み聞かせ中 | 徳島県 | 徳長 怜 |
佳作32 | ジッパーが笑う失礼な礼服 | 青森県 | きさらぎ彼句吾 |
佳作31 | しばらくは冷凍イカで暮らすことに | 青森県 | 吉見恵子 |
佳作30 | ブローチにするわね骨になったれい | 東京都 | 藤田めぐみ |
佳作29 | 満員御礼ついに私を暴露する | 青森県 | まみどり |
佳作28 | 花むしろ敷いてれいさん呼んでみる | 北海道 | 嶺岸柳舟 |
佳作27 | れい状にアートネイルが四苦八苦 | 愛媛県 | 本田醇子 |
佳作26 | 縦に振るしかない首レイを掛けられて | 鳥取県 | 平尾正人 |
佳作25 | 夕焼けのせんれい受けているザクロ | 京都府 | 西田雅子 |
佳作24 | 例のアレですねと春の隙間から | 鳥取県 | 平尾正人 |
佳作23 | コロンボのレインコートを叩き売り | 秋田県 | 佐藤春子 |
佳作22 | 鮮やかなれいを残して水になる | 京都府 | 蟹口和枝 |
佳作21 | れいが宿ると滑る針先 | 大阪府 | 笠嶋恵美子 |
佳作20 | 除霊したヒョウタンゴミムシの妙子 | 大阪府 | 小林康浩 |
佳作19 | 御礼に黒子ひとつを差し上げる | 青森県 | 船水葉 |
佳作18 | 共犯者レとイは今も逃走中 | 秋田県 | 佐藤春子 |
佳作17 | 求愛のダンスの例にされまして | 京都府 | 森田律子 |
佳作16 | いい例があると言われたダンゴムシ | 兵庫県 | 村井広子 |
佳作15 | めぐすりがれいのかたちでおちてくる | 青森県 | 笹田かなえ |
佳作14 | 冷静に歪んでいますスピーカー | 滋賀県 | 大谷のり子 |
佳作13 | 馬鈴薯の「れい」が膨らむ発芽する | 奈良県 | 中村せつこ |
佳作12 | つまんないつまんないつまんない れい | 大阪府 | 徳山泰子 |
佳作11 | 通りすがりのきれいな穴 に落ちる | 秋田県 | 一 帆 |
佳作10 | ぐんにゃりと綺麗に歪むふかみどり | 愛媛県 | 郷田みや |
佳作9 | 粘っこいレイが戻って来やがった | 島根県 | 石橋芳山 |
佳作8 | 例文のどれもが青みがかっている | 滋賀県 | 北村幸子 |
佳作7 | 最近れいしてる?週2くらいかな | 大阪府 | 雨森茂喜 |
佳作6 | れいとしてあなたを上げておきました | 奈良県 | ひとり静 |
佳作5 | 号令がかかった合羽いるだろう | 石川県 | 奥野とみ子 |
佳作4 | 赤ちゃんはレインシューズでやって来る | 神奈川県 | 加藤ゆみ子 |
佳作3 | 一礼をされてほたるが胸に来た | 長野県 | 丸山健三 |
佳作2 | つぶつぶは例のところにありました | 静岡県 | 中前棋人 |
佳作1 | きりつれいいすとりゲームいまかきょう | 新潟県 | 谷沢けい子 |
秀逸5 | プレパラートにはさむ紫色の霊 | 愛媛県 | 大内せつ子 |
秀逸4 | 返礼の桃の種から芽生えたの | 北海道 | 木暮健一 |
秀逸3 | 起立礼着席なんきんたますだれ | 福岡県 | 柴田美都 |
秀逸2 | オクラホマミクサは例年通り小雨決行 | 愛媛県 | 高橋こう子 |
秀逸1 | 広東風れいこさん的昼下がり | 青森県 | 土田雅子 |
特選 | オカッパノレイコレイワノイチリンシャ | 福島県 | 中野敦子 |
集句は「れい」を漢字にして意味を持たせた方、ひらがな(カタカナ)にして読み手にまかせた方、単語の一部として使った方に分かれた。漢字にすると令・玲・麗・零・礼・例・霊・齢・冷・鈴……等、なんと固い意味を持つ言葉だろう。ひらがなで表現した作品もこれら漢字のどれかにあてはまるようだ。そのせいだろうか、いつになく冒険が少なく堅苦しい作品が多くなった気がする。題に振り回され、四苦八苦している様子がうかがえた。
題を消化している作品を選ぶことに心がけた。
秀逸
プレパラートにはさむ紫色の霊
謎めいた作品で、紫色の霊って何だろう。皮膚?それとも血液?まるで科学捜査のよう。死んでからまで顕微鏡で暴かれるなんて、まっぴらごめんであるが……。
返礼の桃の種から芽生えたの
お返しに桃の種を贈るのも、その種を植えるのもどっちもどっち。三年経ったら「おい、桃がなったぞ。食うか」。妙な関係(友情)はどちらかが死ぬまで続くことだろう。
起立礼着席なんきんたますだれ
佳作に同じ素材の「いすとりゲーム」を取ったが、椅子とりゲームは遊びだけでなく、政治や仕事でのことも連想させ、さらに「いまかきょう」と結論を出しているのがわかりすぎて作品を縮めているような。「なんきんたますだれ」という意外なものをペタンと貼りつけ、目くらまし戦法。これにはすっかり参ってしまった。
オクラホマミクサは例年通り小雨決行
運動会などでフォークダンスは今も行われているのだろうか。それとも老人たちの行事? それにしても小雨決行ってびっくりである。いまや、女同士で踊っているのかもしれない。「あんた男やって」なんてね。
広東風れいこさん的昼下がり
数ある中国料理の中でも広東料理は薄味で海産物の旨みをいかしているという。「かんとんふう」と読むのが正しいのだろうが、吹いている風のようでもある。れいこさんがぴったりである。きっとあのれいこさんである。
特選
オカッパノレイコレイワノイチリンシャ
数えたら「令和」は21句あった。その中の一句だけ選んだ。「令和」がちゃんと機能していると思った。覚えたばかりの一輪車とおかっぱの少女レイコがいきいきと描かれている。レイコの未来を祈らずにいられない。
佳作44 | れいちゃんに水色を読み聞かせ中 | 徳島県 | 徳長 怜 |
佳作43 | 無礼ですここはあなたの空ですか | 福井県 | 酒井暁美 |
佳作42 | プレパラートにはさむ紫色の霊 | 愛媛県 | 大内せつ子 |
佳作41 | 麗の字が恐竜になる夏休み | 東京都 | 飯島章友 |
佳作40 | 辞令なら芋焼酎で中和した | 静岡県 | 渡辺遊石 |
佳作39 | 令よ和よ泣くなロミオとジュリエット | 愛知県 | 丸山 進 |
佳作38 | つぶつぶは例のところにありました | 静岡県 | 中前棋人 |
佳作37 | 鮮やかなれいを残して水になる | 京都府 | 蟹口 和枝 |
佳作36 | 秘めやかに返戻される夜の裏 | 京都府 | 蟹口 和枝 |
佳作35 | 最敬礼象のうんこよサバンナよ | 愛知県 | 中川喜代子 |
佳作34 | 擂り鉢の溝へ令和をお連れする | 北海道 | 高橋 蘭 |
佳作33 | 羽付けて例の如くを飛び越える | 高知県 | 森乃鈴 |
佳作32 | 冷静にあなたの黒を脱ぐんだよ | 福井県 | 天谷由紀子 |
佳作31 | 前例が無いのでれいをつくります | 愛媛県 | 柳田かおる |
佳作30 | そうなんだほぼ夢なんだれいなんだ | 愛媛県 | 土居新山 |
佳作29 | そこそこのそこらあたりの霊柩車 | 福岡県 | 柴田美都 |
佳作28 | れいれいれい隙間が青白く腐る | 東京都 | 藤田めぐみ |
佳作27 | 5mmずつちぢんで零で消えるはず | 高知県 | 萩原良子 |
佳作26 | こんな日はトカゲにゆるす無礼講 | 愛知県 | 土園映子 |
佳作25 | 凡例 推測読みをしています | 青森県 | 渡邊こあき |
佳作24 | 求愛のダンスの例にされまして | 京都府 | 森田律子 |
佳作23 | 落とし穴をとるか例外をとるか | 長野県 | 樹萄らき |
佳作22 | 姉さんの礼儀正しきアミダ籤 | 愛知県 | 中川喜代子 |
佳作21 | ややこしい浮世ゆゆしき冷蔵庫 | 兵庫県 | 妹尾凛 |
佳作20 | 阿と吽も礼も無礼も気候危機 | 愛知県 | 三好光明 |
佳作19 | 失礼と無礼にかける味の素 | 岡山県 | 小林茂子 |
佳作18 | 例文・背骨がもうだめなのです | 大阪府 | 竹井 紫乙 |
佳作17 | 礼儀正しく悲鳴をあげて生きている | 青森県 | 坂本清乃 |
佳作16 | 起立 礼 着席は未だ許されず | 宮城県 | 須川柊子 |
佳作15 | さびしくて絶対零度から発火 | 兵庫県 | 妻木寿美代 |
佳作14 | 男鹿半島で水の御礼を思いつく | 北海道 | 澤野優美子 |
佳作13 | 令月や白夜に落ちた生卵 | 奈良県 | 中村せつこ |
佳作12 | 一礼をして摩周湖に消えてゆく | 北海道 | 澤野優美子 |
佳作11 | 褐色のオウムがレイの歌だった | 長野県 | 西沢葉火 |
佳作10 | ふくろうの礼砲響く骨董屋 | 兵庫県 | 河内谷恵 |
佳作9 | 朝焼けじみた夕焼けじみたレイアウト | 愛媛県 | 中西亜 |
佳作8 | お礼にひとつ黄昏ひとつどうぞどうぞ | 滋賀県 | 安井茂樹 |
佳作7 | 寒冷地仕様の人がみつからぬ | 青森県 | 渡邊こあき |
佳作6 | シェアしませんかフィジーモルディブセブ冷気 | 愛媛県 | 中西亜 |
佳作5 | 冷泉の底にゆうべを沈めるね | 北海道 | 四ツ屋いずみ |
佳作4 | れいれいしい挨拶状が届く 夜 | 青森県 | 村上てる |
佳作3 | 慣例にしたがい否認から黙秘 | 青森県 | 濱山哲也 |
佳作2 | めぐすりがれいのかたちでおちてくる | 青森県 | 笹田かなえ |
佳作1 | 腸のきれいな人と行く彼岸 | 福井県 | 奥村美枝子 |
秀逸5 | レイザバレルの標的は三ツ矢サイダー | 愛知県 | 蝶 |
秀逸4 | 柩までの通過儀礼をスルーする | 愛媛県 | 村山浩吉 |
秀逸3 | 綺麗だと言われきれいを光らせる | 奈良県 | 目黒友遊 |
秀逸2 | ごらんなさいまし冷却水の塔 | 鳥取県 | 斉尾くにこ |
秀逸1 | 例のアレですねと春の隙間から | 鳥取県 | 平尾正人 |
特選 | これをもちましてしきをとじます 礼 | 青森県 | 小野五郎 |
今回の題「れい」は、広がりがあり、自由すぎて、創作は難しかったと思います。選も、こんなに迷ったことはありません。迷わせていただき、ありがとうございました。
【秀逸】
レイザバレルの標的は三ツ矢サイダー
アニメの「機動戦士ガンダム」の架空の人物、レイザバレルが三ツ矢サイダーを標的にするなんて、おもしろい!
柩までの通過儀礼をスルーする
誕生から今まで、成人式や結婚式などさまざまな通過儀礼がありました。でもこれから先は、長寿祝いは嬉しくないし、葬儀もシンプルがいい、しなくてもいいです。この句の思いに共感する人も多いでしょう。
綺麗だと言われきれいを光らせる
褒められると、ついその気になる性格。単純だなあ、と思いますが、暗いより明るいほうへ向かっていくのが好き。絶対いいと思いたい。
ごらんなさいまし冷却水の塔
原子力発電所の冷却水に対して「ごらんなさいまし」がぴったり。軽妙でおかしい。そして、とても切ない気持ちが伝わりました。
例のアレですねと春の隙間から
この頃、忘れっぽくなり、言葉が出てこなくて、アレとかソレが多くなりました。しかし、この句は秘密めかして「例のアレ」と言ったのですね。「春の隙間」が心地よく響き合っています。
【特選】
これをもちましてしきをとじます 礼
式の最後の言葉を、自分の思いなどではなく、そのままストレートに切り取りました。小学校の入学式・卒業式のあの頃を懐かしく思い出しました。ひらがな表記のあとの漢字の「礼」が絶妙で、一字あけも効果的です。
新鮮な発想と的確な表現、とても印象深い作品でした。
これをもちまして選評おわります。
佳作1 | 存分に笑うと消えていきました | 京都府 | 和田洋子 |
佳作2 | この顔で文句あるかと外へ出る | 神奈川県 | 闘苦朗 |
佳作3 | ようやっと既読になったプロポーズ | 石川県 | 藤村容子 |
佳作4 | なめんなよそんな顔してやってきて | 神奈川県 | 芝岡かんえもん |
佳作5 | さよならの前の笑顔だね じゃあね | 秋田県 | 佐渡真紀子 |
佳作6 | もうがんばらなくてもいい ねえあんた | 秋田県 | 田久保亜蘭 |
佳作7 | 終わりがあるから美しいなんて嫌 | 秋田県 | 田久保亜蘭 |
佳作8 | ぶたないでいい子で星をしてるから | 埼玉県 | 織田和子 |
佳作9 | アリバイのある日の夜はこんな顔 | 愛媛県 | 土居新山 |
佳作10 | ヘイタクシーノアの箱船までたのむ | 秋田県 | 佐藤春子 |
佳作11 | 長文にスタンプひとつ返しよる | 青森県 | 土田雅子 |
佳作12 | リモートで燥ぎすぎてる背後霊 | 青森県 | 濱山哲也 |
佳作13 | 鼓笛隊の先頭を行くアンパンマン | 愛知県 | 中川喜代子 |
佳作14 | 暗号がぴったり合えばオトモダチ | 大阪府 | 竹井紫乙 |
佳作15 | 残尿感アンドロメダのひとしずく | 青森県 | 井上健蔵 |
佳作16 | 目の奥で笑う特訓中 ムフフ | 京都府 | 蟹口和枝 |
佳作17 | 朝顔の種がこぼれる盗聴器 | 秋田県 | 一 帆 |
佳作18 | こちら側性別不問用トイレ | 三重県 | 青砥たかこ |
佳作19 | くちびるの赤い大人は通りゃんせ | 愛知県 | 青砥和子 |
佳作20 | とりあえず円満離婚ということに | 北海道 | 浪越靖政 |
佳作21 | 恋人の立ち位置は右自動ドア | 秋田県 | 一 帆 |
佳作22 | 美ら海の虹を昇ってゆくマンタ | 大阪府 | 笠嶋恵美子 |
佳作23 | ハローと言って急な階段現れる | 京都府 | 谷口 文 |
佳作24 | だとしても足は踏まれたままである | 京都府 | 蟹口和枝 |
佳作25 | 真夜中の指揮者と星のオーケストラ | 秋田県 | 佐藤春子 |
佳作26 | またねってはにかみ置いていったきり | 青森県 | 熊谷冬鼓 |
佳作27 | おしゃべりなおむつ発光体となる | 宮城県 | 勝又明城 |
佳作28 | リュックから出すやわらかになるお水 | 滋賀県 | 重森恒雄 |
佳作29 | ルーシーの脳がショートしサクラサク | 福岡県 | もりともみち |
佳作30 | あわわわわこんなところで嫁に会う | 奈良県 | 中村せつこ |
佳作31 | ゾウさんも好きです他意はありません | 奈良県 | ひとり静 |
佳作32 | 返信のニコニコ少し嘘がある | 大阪府 | 荻野浩子 |
佳作33 | 笑うとこ間違えたかも知れません | 島根県 | 石橋芳山 |
佳作34 | 蔵出しの顔で鮟鱇起ちあがる | 宮城県 | 勝又明城 |
佳作35 | 『人間に注意』 ここはけもの道 | 愛知県 | 今村美根子 |
佳作36 | さよならと思しき小春日の穴 | 青森県 | 守田啓子 |
佳作37 | トンネルの向こうに捨てた筈のホネ | 埼玉県 | 織田和子 |
佳作38 | 戦争になるから口は消しておく | 愛知県 | 今村美根子 |
佳作39 | 声絶えて六道界になだれ込む | 東京都 | 秋広まさ道 |
佳作40 | わたくしの空にときどき鳥がくる | 鳥取県 | 斉尾くにこ |
佳作41 | はしゃいでも一人はしゃいでも淋しい | 滋賀県 | 安井茂樹 |
佳作42 | 買えるならメルケルさんにしたいなあ | 青森県 | 葉 閑女 |
佳作43 | プロポーズしたとき欠伸しましたね | 愛媛県 | 村山浩吉 |
佳作44 | その下は 吹雪 | 静岡県 | 句ノー |
秀逸1 | ココカラハ昆虫食ノ時代デス | 青森県 | 船水 葉 |
秀逸2 | カワイイの総面積がわからない | 青森県 | 井上健蔵 |
秀逸3 | じゃあねって風のことばを渡される | 兵庫県 | 西田雅子 |
秀逸4 | コオロギが来て埴輪なにか言う | 滋賀県 | 畑山美幸 |
秀逸5 | 分母には逆上がりした風を置く | 京都府 | 河村啓子 |
特選 | コクトーの耳卵管に運ばれる | 北海道 | 澤野優美子 |
佳作44 | アブラカタブラ失礼ですが消えますよ | 愛知県 | 伊賀武久 |
佳作43 | 失礼してナマケモノになります | 静岡県 | 中前棋人 |
佳作42 | 失礼ね 監視カメラが視ています | 岩手県 | 熊谷岳朗 |
佳作41 | 真相は0番線に着いてから | 静岡県 | 渡辺遊石 |
佳作40 | 令和元年今朝もしっかり歯を磨く | 青森県 | ひとは |
佳作39 | 黒板とチョークの匂い起立 れい | 愛媛県 | 青野 舞 |
佳作38 | 一礼をする飛べそうな気がします | 京都府 | 和田洋子 |
佳作37 | 失礼と無礼にかける味の素 | 岡山県 | 小林茂子 |
佳作36 | 私を母にした子に礼を言う | 大阪府 | 里山はるえ |
佳作35 | 冷蔵庫の八分音符や四分音符 | 福井県 | 天谷由紀子 |
佳作34 | 辞令なら芋焼酎で中和した | 静岡県 | 渡辺遊石 |
佳作33 | オルガンに合わせて礼をする桜 | 愛知県 | 松長一歩 |
佳作32 | ドギマギはしないあなたの加齢臭 | 愛媛県 | 山本 毅 |
佳作31 | 巡礼の杖が夕凪色になる | 愛媛県 | 高畑俊正 |
佳作30 | 手をつなぐレイ・チャールズのファソラシド | 青森県 | 成田我楽 |
佳作29 | ジョバンニを零番線で待っている | 青森県 | 中村誠子 |
佳作28 | 誰かを想うとてもきれいな時間です | 京都府 | 西田雅子 |
佳作27 | 二小節目のれいにモザイクをかける | 奈良県 | 岡谷 樹 |
佳作26 | 擂り鉢の溝へ令和をお連れする | 北海道 | 高橋 蘭 |
佳作25 | 敬礼のままお月さま泣いている | 静岡県 | 句ノ一 |
佳作24 | 日日是好日 幽霊に足がある | 宮城県 | 須川柊子 |
佳作23 | プレパラートにはさむ紫色の霊 | 愛媛県 | 大内せつ子 |
佳作22 | れいというルビに振り回されました | 青森県 | 尾上 宏 |
佳作21 | 通りすがりのきれいな穴 に落ちる | 秋田県 | 一 帆 |
佳作20 | 礼服に雨の匂いのする記憶 | 青森県 | 須藤しんのすけ |
佳作19 | 例えればソーラーパネルと月見草 | 青森県 | 熊谷冬鼓 |
佳作18 | 礼儀正しく悲鳴をあげて生きている | 青森県 | 坂本清乃 |
佳作17 | オクラホマミクサは例年通り小雨決行 | 愛媛県 | 高橋こう子 |
佳作16 | ジッパーが笑う失礼な礼服 | 青森県 | きさらぎ彼句吾 |
佳作15 | めぐすりがれいのかたちでおちてくる | 青森県 | 笹田かなえ |
佳作14 | 冷凍の秋刀魚の腸と発泡酒 | 和歌山県 | 木本朱夏 |
佳作13 | 逝く先はほうれい線の先にある | 福岡県 | もりともみち |
佳作12 | きりつ・れい戦前戦後引き連れて | 青森県 | まきこ |
佳作11 | 慣例にしたがい否認から黙秘 | 青森県 | 濱山哲也 |
佳作10 | 冷静にあなたの黒を脱ぐんだよ | 福井県 | 天谷由紀子 |
佳作9 | まだ駆ける齢はゆっくり追ってこい | 愛知県 | 稲垣康江 |
佳作8 | 号令が聞こえる向日葵の背後 | 大阪府 | 本多洋子 |
佳作7 | れいとしてあなたを上げておきました | 奈良県 | ひとり静 |
佳作6 | 右側に君 霊感はないけれど | 愛媛県 | 吉原美佐 |
佳作5 | 起立 礼 昭和も遠くなっちゃった | 長野県 | 小池孝一 |
佳作4 | 例文のどれもが青みがかっている | 滋賀県 | 北村幸子 |
佳作3 | 返礼の桃の種から芽生えたの | 北海道 | 木暮健一 |
佳作2 | レイ掛けてください わたしの晒し首 | 香川県 | 嶋村 幸 |
佳作1 | つぶつぶは例のところにありました | 静岡県 | 中前棋人 |
秀逸5 | 粘っこいレイが戻って来やがった | 島根県 | 石橋芳山 |
秀逸4 | 午前0時違う私が起き上がる | 青森県 | 村上あつこ |
秀逸3 | 消しゴムは必要でしょう令和とて | 岩手県 | 熊谷岳朗 |
秀逸2 | 冷蔵庫四角い夜が立っている | 高知県 | 小野善江 |
秀逸1 | 漢字から戦 ひらがなかられいわ | 大阪府 | 荻野浩子 |
特選 | 例外のない一日だった手を洗う | 新潟県 | 夏井せいじ |
第24回杉野十佐一賞にたくさんのご応募をいただきありがとうございました。
最初に、「れい」という題のこと。
題は、おかじょうき川柳社のメンバーが集まる例月の打合会で検討されました。
まず、改元に因み「令和」あるいは「令」にしたらどうかという意見がありました。
でも、それでは作品のモチーフが片寄って面白味のない句が多くなることが予想されましたので、「令」をもとに更に話を進め、結果的に平仮名の「れい」を採用することになりました。
「れい」という題は、あってないような題です。”自由詠みたいなもの”とあっさり作るのもいいでしょうし、「れい」って何だ?と題をどう捉えるか考えに考えて作るのもいいでしょう。
漢字1字の題、あるいは名詞、動詞などの題とは違って言わばとんでもなく余裕のある題ですから発想が膨らんで不思議な脳内トリップを体験をされた方がいたかもしれません。もしそうであれば、主催者として非常にうれしく思います。
そんな事情がありましたので、私としては応募作品の送られて来るのがいつもよりぐんと楽しみでした。
事務局からメールに添付されて届いたのは10月11日。一気に読み通すつもりで、全474句と向かい合いました。
ところが、各作品のいろんな発想に魅せられ読むだけで多くの時間を要してしまいました。
折角なので、選考と同時に応募句のモチーフにどんな傾向があるか少し分析してみることに。
一番多かったのは「礼」で、124句あり、応募作の実に4分の1(26%)を占めました。次が49句(約10%)の「例」。その次が「霊」の45句(約9%)。
そして、題の「れい」という音が句の中に出てこない、たぶん印象吟として作られた句が44句(約9%)ありました。
以下、「零(ゼロ)」が39句、「冷」が34句、「令和」が25句と続きます。
私が特選に選んだのは、「例」を使った次の句。
例外のない一日だった手を洗う
この句は、静かで確かなボディを持つ極めてオーソドックスな句です。平明に表現された何でもない普通の一日のありがたさが、残り少ない人生をあがきながら暮らしている私を鋭く撃ち抜きました。
思いがけず大賞をいただき誠にありがとうございます。
四十年前、産婦人科で「お腹の赤ちゃんは双子です」と告げられた時と同じくらい本当に驚きました。
毎月、「おかじょうき」を楽しみにしております。読む度、川柳の新鮮さ、ユニークさ、感覚の鋭さに驚きわくわくしています。その様な魅力的な川柳に少しでも近づきたいと杉野十佐一賞に挑戦しました。
自分の心のありようを見つめていく中でこの句が生まれました。「失礼」・「無礼」は相手からされた受け身のものではなく、そう感じる自分の感情が問題なのではと思いました。
迷いながらこれからも川柳に向き合っていきたいと思います。
貴重な経験をありがとうございました。