(特)ちえみ(秀)政二(佳)れいこ・由紀子・むさし
電柱にかわってくれと頼まれる
中前棋人(静岡県)
◆準賞(10点)
(特)由紀子(秀)れいこ(佳)政二・ちえみ
424回混ぜて変になる 飯島章友(東京都)
【8点】 | |
(特)政二(秀)由紀子 | |
ボウリング場にわたしの箸がない | 水城鉄茶(茨城県) |
(秀)れいこ・むさし(佳)政二・澄子 | |
さよならの明るいほうが酔芙蓉 | 瀧村小奈生(愛知県) |
【7点】 | |
(特)むさし(佳)由紀子・ちえみ | |
お静かにシカクがマルに変わります | 郷田みや(愛媛県) |
(特)澄子(佳)由紀子・ちえみ | |
カブスズナカブラカブラナ変異蕪 | 早川柚香(岐阜県) |
【6点】 | |
(秀)ちえみ(佳)れいこ・由紀子・澄子 | |
鶏頭の裏のあたりがちょっと変 | 峯 裕見子(滋賀県) |
(秀)れいこ(佳)由紀子・ちえみ・澄子 | |
でんぷんが沈んだころにあいましょう | 米山明日歌(静岡県) |
(秀)ちえみ(佳)政二・れいこ・由紀子 | |
変わりはないかとブランコを揺さぶる | 笹田かなえ(青森県) |
(秀)政二(佳)れいこ・由紀子・ちえみ | |
崩れたらわたし金平糖になる | jessica-heart(青森県) |
(秀)由紀子(佳)政二・ちえみ・澄子 | |
じつにまあプラスチックな一日で | 徳長 怜(徳島県) |
【5点】 | |
(特)れいこ | |
マネキン家族つるつると不変です | 小野善江(高知県) |
(秀)むさし(佳)ちえみ・澄子 | |
憎しみも薄れた ジーンズも褪せた | 斎籐泰子(秋田県) |
(秀)ちえみ(佳)れいこ・澄子 | |
ひっそりとお酢に変身する祖父母 | 小沢 史(東京都) |
(秀)むさし(佳)政二・れいこ | |
日曜日ふっとわたしが冬になる | 芝岡かんえもん(神奈川県) |
(秀)政二(佳)れいこ・由紀子 | |
流れゆく変わらぬ方を上にして | 柳本惠子(奈良県) |
【4点】 | |
(秀)澄子(佳)むさし | |
嘴の長さを変えて自白する | 田中なお(愛媛県) |
(秀)由紀子(佳)ちえみ | |
変電所たぬきの皮が干してある | 酒井暁美(福井県) |
(秀)むさし(佳)澄子 | |
波乱つづきの今日を炒めておきましょう | 天谷由紀子(福井県) |
(秀)澄子(佳)むさし | |
本能寺の煙りに今もむせている | 板谷達彦(富山県) |
(秀)澄子(佳)ちえみ | |
父さん入れて悲惨な色になるジュース | 浅井ゆず(大阪府) |
(秀)由紀子(佳)政二 | |
いま生まれ変わるなら三ツ矢サイダー | 妹尾凛(兵庫県) |
(秀)ちえみ(佳)むさし | |
紫のさくら咲いたの秋ですもの | 高木まあこ(青森県) |
(秀)由紀子(佳)ちえみ | |
変なとこでアカミミガメが手を振るの | 守田啓子(青森県) |
(秀)澄子(佳)れいこ | |
変色の月 返品試みる | 一 帆(秋田県) |
(秀)澄子(佳)由紀子 | |
韻の踏み方変顔の作り方 | 赤石ゆう(秋田県) |
(秀)ちえみ(佳)澄子 | |
七変化 別料金になりますが | 小林茂子 (岡山県) |
(佳)政二・ちえみ・澄子・むさし | |
変ですね悪いところがありません | 下村 修(神奈川県) |
(佳)政二・れいこ・ちえみ・澄子 | |
変わらないね水の部分を見せ合って | 瀧村小奈生(愛知県) |
(佳)れいこ・由紀子・ちえみ・澄子 | |
七番が変な具合に効いている | 重森恒雄(滋賀県) |
(佳)政二・由紀子・ちえみ・むさし | |
ウィンカーは出したか髭は剃ったのか | jessica-heart(青森県) |
(佳)れいこ・由紀子・ちえみ・むさし | |
さっきから奥歯に変が挟まって | 雨森茂喜(大阪府) |
(佳)政二・れいこ・ちえみ・むさし | |
へんてこにへんてこりんがかみついた | 中前棋人(静岡県) |
【3点】 | |
(秀)れいこ | |
こうちゃんは変身のあと仕舞われる | 青砥和子(愛知県) |
(秀)政二 | |
人として生まれたはずの信号機 | 水城鉄茶(茨城県) |
(秀)むさし | |
抑え込んだ怒り文字化けしてしまう | 熊谷冬鼓(青森県) |
(秀)政二 | |
虫が鳴く虫になれるか私泣く | 大谷のり子(滋賀県) |
(秀)れいこ | |
消失点追い消失点になり消 | 辻 述(東京都) |
(佳)政二・れいこ・由紀子 | |
歯ブラシが一本消えて月おぼろ | 井上健蔵(青森県) |
(佳)由紀子・ちえみ・むさし | |
毛布掛けても異音がするわ あなた | 湊 圭伍(愛媛県) |
(佳)政二・澄子・むさし | |
優しさでしょうか日付がまた変わる | 佐々木智恵子(秋田県) |
(佳)政二・ちえみ・むさし | |
あなたですか背中に愛を入れたのは | 市井美春(京都府) |
(佳)政二・れいこ・由紀子 | |
改心をしても所詮は紙コップ | 田中なお(愛媛県) |
(佳)れいこ・由紀子・むさし | |
ねぎらってくれるマイナスドライバー | 夏草ふぶき(青森県) |
(佳)由紀子・ちえみ・むさし | |
変わるわよくすぐったくて痛いけど | 赤石ゆう(秋田県) |
(佳)政二・ちえみ・むさし | |
包丁を握ると変な気が起こる | 松長一歩(愛知県) |
(佳)由紀子・ちえみ・澄子 | |
これ以上タルトタタンを責めないで | 黒田弥生(兵庫県) |
(佳)由紀子・澄子・むさし | |
きれいネと言って 変色しますから | 村山浩吉(愛媛県) |
(佳)ちえみ・澄子・むさし | |
ボクだよとルビンの壺を渡される | みつ木もも花(福井県) |
(佳)政二・ちえみ・澄子 | |
見つめている内に真っ直ぐになった | 和田洋子(京都府) |
(佳)政二・ちえみ・むさし | |
変な子ね 人間が怖いだなんて | 斎籐泰子(秋田県) |
【2点】 | |
(佳)由紀子・澄子 | |
トンカラリンヘンテコリンとしがらみる | 河野潤々(北海道) |
(佳)れいこ・澄子 | |
ペヤングの湯切りがもはや求道者 | 八上桐子(兵庫県) |
(佳)政二・れいこ | |
口紅がとてもお外に出たがつて | 河村啓子(京都府) |
(佳)れいこ・むさし | |
婆さんが夜と云うから今は夜 | 岩根彰子(京都府) |
(佳)由紀子・澄子 | |
ここまではフラットそこからキリギリス | 柴田美都(福岡県) |
(佳)れいこ・ちえみ | |
もこもこッと産まれぺにゃりと暮らすなり | 西脇祥貴(三重県) |
(佳)れいこ・由紀子 | |
♭をみな取り外し転生す | 浅井ゆず(大阪府) |
(佳)ちえみ・澄子 | |
雷に打たれてからはなんか変 | 岸井ふさゑ(大阪府) |
(佳)由紀子・澄子 | |
サ行なら変格してもいいのでは | 土居新山(愛媛県) |
(佳)政二・むさし | |
人になるまで回し続けている轆轤 | 芝岡かんえもん(神奈川県) |
(佳)れいこ・澄子 | |
放生会変なところを光らせて | 峯 裕見子(滋賀県) |
(佳)政二・むさし | |
♂と♀たまに二つは入れ変わる | 松長一歩(愛知県) |
(佳)澄子・むさし | |
「混ぜるな危険」そんなわたしでよかったら | 大内せつ子(愛媛県) |
(佳)由紀子・むさし | |
まがいものになるまでカサブランカだった | 滋野さち(青森県) |
(佳)政二・ちえみ | |
石ころがひとつも落ちていない道 | 佐々木智恵子(秋田県) |
(佳)れいこ・由紀子 | |
変声期くりきんとんかみふうせん | 尾崎良仁(千葉県) |
(佳)れいこ・澄子 | |
約束はサ変待ちあぐねてカ変 | 葉 閑女(青森県) |
(佳)政二・むさし | |
変わっても変わらなくてもほらわたし | まきこ(青森県) |
(佳)澄子・むさし | |
変換キー押し間違えて生き返る | 笠嶋恵美子(大阪府) |
(佳)政二・由紀子 | |
ほんとかな風の後ろ側にまわる | 藤田めぐみ(東京都) |
(佳)澄子・むさし | |
長い長い橋の途中に甘味処 | 佐藤雅秀(青森県) |
(佳)由紀子・澄子 | |
金木犀テクマクマヤコン流星群 | 竹尾佳代子(三重県) |
(佳)政二・れいこ | |
煮詰めると変わった僕の影が出来 | 坂本清乃(青森県) |
(佳)ちえみ・むさし | |
相変わらず雀カアカア泣いている | 天谷由紀子(福井県) |
(佳)ちえみ・澄子 | |
サロメから七つのヴェール渡される | 黒田弥生(兵庫県) |
(佳)れいこ・むさし | |
喪が明ける滴が虹に変わるとき | 村上あつこ(青森県) |
(佳)れいこ・澄子 | |
じゅうぶんに変則的な夜明けです | はるのあきこ(東京都) |
(佳)由紀子・ちえみ | |
うまそうな背中になって逃げて行く | 川田由紀子(大阪府) |
(佳)由紀子・むさし | |
翅つけて昔はなかったことにする | 河村啓子(京都府) |
(佳)由紀子・澄子 | |
貧困者用無段階変速機 | 小林康浩(大阪府) |
(佳)ちえみ・むさし | |
なぜだろう行き交う星がみな刺さる | きさらぎ彼句吾(青森県) |
(佳)由紀子・むさし | |
変身をしました消えてしまいました | 柴田美都(福岡県) |
(佳)ちえみ・むさし | |
変化球受ければ電源が落ちる | みつ木もも花(福井県) |
(佳)政二・ちえみ | |
変な家だ四角いスイカ出してくる | 松木慎吾(愛媛県) |
(佳)由紀子・ちえみ | |
政変の端にポツンと待合所 | 小林茂子 (岡山県) |
(佳)由紀子・ちえみ | |
一億人中九九九九九九九九人は 変 | 浪越靖政(北海道) |
(佳)れいこ・澄子 | |
側溝に変わり果てたる雨合羽 | 宮田 勉(宮崎県) |
(佳)れいこ・ちえみ | |
軋ませて曲げてゲイジュツらしくする | いわさき楊子(熊本県) |
(佳)れいこ・むさし | |
変異株よ止まれ名月ではないか | 岡本 聡(石川県) |
(佳)政二・由紀子 | |
見える見えない見せられないがどこも変 | 早川柚香(岐阜県) |
(佳)由紀子・澄子 | |
初恋の人と立ち入る変電所 | 西沢葉火(長野県) |
(佳)澄子・むさし | |
富士登山変ニ短調的だわね | 中川喜代子(愛知県) |
【1点】 | |
(佳)政二 | |
名を変えるそっと薄紙剥ぐように | 峯島 妙(大阪府) |
(佳)澄子 | |
創世記 変な卵と変な種 | 寺川弘一(大阪府) |
(佳)ちえみ | |
きっとみなコックピットをもっている | 佐藤春子(秋田県) |
(佳)澄子 | |
変をすり抜けるアヴィニョンの娘たち | ひとり静(奈良県) |
(佳)澄子 | |
墓は連結器 汽車好きの修司 | 宮本彩太郎(東京都) |
(佳)政二 | |
狂うこと忘れずにいる腕時計 | 谷沢けい子(新潟県) |
(佳)澄子 | |
ブルカの下で変わっていくジャスミン | 滋野さち(青森県) |
(佳)むさし | |
どうしても皆と同じでなきゃダメか | 石田賢吾(海神 瑠珂)(岐阜県) |
(佳)由紀子 | |
変ホ長調響かせている「ほ」の時間 | 石橋芳山(島根県) |
(佳)れいこ | |
変態の野原は自由席でした | 西脇祥貴(三重県) |
(佳)ちえみ | |
お隣のカレーの匂い事件よきっと | 佐藤雅秀(青森県) |
(佳)れいこ | |
武士道も変異しながらゴミを出す | 井上健蔵(青森県) |
(佳)政二 | |
友だちのいない私は変ですか | 日下部敦世(千葉県) |
(佳)ちえみ | |
水色の変異が気にかかる 多少 | 安藤なみ(愛知県) |
(佳)由紀子 | |
仮面ライダーになりそこなった変異株 | きさらぎ彼句吾(青森県) |
(佳)むさし | |
お変わりはありませんかと書くジェラシー | 安井紀代子(愛知県) |
(佳)政二 | |
夕焼けのきまり時代と共にある | 岩崎眞里子(青森県) |
(佳)澄子 | |
変異する脳細胞のプチプチ | 木口雅裕(京都府) |
(佳)むさし | |
パスワードπに変えたよ 待ってろよ | 寺川弘一(大阪府) |
(佳)ちえみ | |
変身をするからと穴掘っている | 山本知佳子(京都府) |
(佳)むさし | |
マスカラとぎょろ目の仲はよく変わる | 安藤なみ(愛知県) |
(佳)れいこ | |
見るからに変な鼻毛も飼育する | 朧(千葉県) |
(佳)政二 | |
おもしろは変てこりんの進化形 | 中西南子(兵庫県) |
(佳)政二 | |
たったひとつで変貌した地球よ | 稲垣康江(愛知県) |
(佳)澄子 | |
アニミズム的なさざなみを説く蜥蜴 | 勝又明城(宮城県) |
(佳)れいこ | |
感動が変換されて雨の音 | 八上桐子(兵庫県) |
(佳)政二 | |
変ですか愛してるって言えなくて | 川西則子(兵庫県) |
(佳)由紀子 | |
変ロ短調に大福叱られる | 小沢 史(東京都) |
(佳)政二 | |
変わること変わらぬことも瓶の外 | 岩崎眞里子(青森県) |
(佳)むさし | |
変換したら突風になっちゃった | 尾崎良仁(千葉県) |
(佳)澄子 | |
シャーレにて交わる可変的な家 | 藤井智史(岡山県) |
(佳)政二 | |
変わるよりありのままでと見つめられ | 稲垣康江(愛知県) |
(佳)澄子 | |
ひとつだけヴィーナスの立つ帆立貝 | 斉尾くにこ(鳥取県) |
(佳)由紀子 | |
また失くす変わりボタンの三番目 | 笹田かなえ(青森県) |
(佳)政二 | |
老いてゆく速度落とせと笛を吹く | 山里はるえ(大阪府) |
(佳)政二 | |
このままでいいこのままでこのままで | 田中 薫(青森県) |
(佳)れいこ | |
むずむずと春に暴れる変電所 | 藤井智史(岡山県) |
(佳)ちえみ | |
四日目にはひんやりと夕暮れのS | 守田啓子(青森県) |
(佳)ちえみ | |
変わらんでええよ蚯蚓はそのままで | 猪塚廣海(兵庫県) |
(佳)由紀子 | |
安達、井川…渡辺、青木、大久紙魚 | 河野潤々(北海道) |
(佳)由紀子 | |
マヨネーズ下さい今朝の花らっきょ | 永見心咲(岡山県) |
(佳)れいこ | |
一瞬を揺らしてきたよ変声期 | ひとり静(奈良県) |
(佳)むさし | |
脳内の変則五叉路つっきって | いわさき楊子(熊本県) |
(佳)澄子 | |
画素数を変えるときっと叶う夢 | 土居新山(愛媛県) |
(佳)むさし | |
イメチェンの所々に加齢臭 | ひとは(青森県) |
(佳)ちえみ | |
変化球飛んでくるとはつゆ知らず | 青野 舞(愛媛県) |
(佳)れいこ | |
ガンダムも俺にも再度変声期 | 酒井暁美(福井県) |
(佳)政二 | |
怖い怖い変化という物語 | 田中 薫(青森県) |
(佳)由紀子 | |
黒変のバナナの吐息 密ですよ | 入江亜子(大山ありる)(兵庫県) |
(佳)ちえみ | |
シグナルが鳴り続けてる心技体 | まきこ(青森県) |
(佳)政二 | |
生きててね茄子の漬物いい色に | 山里はるえ(大阪府) |
(佳)れいこ | |
私に今 貫入が始まった | 徳長 怜(徳島県) |
(佳)政二 | |
母は今だまし絵の中遊んでる | 道家えい子(大阪府) |
(佳)澄子 | |
ジャイアンへニューノーマルの雨が降る | もり ともみち(福岡県) |
(佳)政二 | |
七変化リアルな僕を見失う | 石澤はる子(青森県) |
(佳)れいこ | |
変声期過ぎると昼が怖くなる | 北村幸子(滋賀県) |
(佳)むさし | |
飲み込んだタイムカプセルから発芽 | 和田洋子(京都府) |
(佳)政二 | |
アレンジをしながら生きた瓶の中 | 渡邊こあき(青森県) |
(佳)れいこ | |
変顔を笑い合ってる縄文人 | 小野善江(高知県) |
(佳)むさし | |
変身願望 総入れ歯を外す | 三浦蒼鬼(青森県) |
(佳)むさし | |
燃料棒をクンクン嗅ぐのは変ですね | 笹田隆志(青森県) |
(佳)政二 | |
いじめに合って地球とうとう変になり | 藤本花枝(京都府) |
(佳)れいこ | |
会うことが変になったら出来上がり | 朧(千葉県) |
(佳)政二 | |
ヘンシーンと母は童女になってゆく | 林 操(滋賀県) |
(佳)澄子 | |
要するに個性的って言うことね | まみどり(青森県) |
(佳)由紀子 | |
線状降水帯それって 変ね | 岡本 聡(石川県) |
(佳)由紀子 | |
変なおじさんがボクの町にも居る | 上原 稔(東京都) |
(佳)れいこ | |
わたくしの水平線がゆがんでる | 道家えい子(大阪府) |
(佳)むさし | |
温暖化へそが背中に回る変 | 猪塚廣海(兵庫県) |
落合魯忠・河野潤々・澤野優美子・浪越靖政・四ツ屋いずみ
jessica-heart・石澤はる子・稲見則彦・井上健蔵・岩崎眞里子・きさらぎ彼句吾・熊谷冬鼓・坂本清乃・笹田かなえ・笹田隆志・佐藤雅秀・佐藤寿見子・滋野さち・須藤しんのすけ・高木まあこ・田中薫・旅男・月波与生・土田雅子・夏草ふぶき・ひとは・まきこ・まみどり・三浦蒼鬼・村上あつこ・守田啓子・葉閑女・吉田吹喜・渡邊こあき
勝又明城
赤石ゆう・一帆・斎籐泰子・佐々木智恵子・佐藤春子・佐渡真紀子・田久保亜蘭
石澤三笑・水城鉄茶
白衣洞正美
織田和子・野邊富優葉
尾崎良仁・日下部敦世・朧・渡辺柳山
飯島章友・伊藤こうか・しんちゃん・上原稔・小沢史・辻述・はるのあきこ・藤井ちより・藤田めぐみ・宮本彩太郎・山田こいし
芝岡かんえもん・下村修・闘苦朗
谷沢けい子
板谷達彦
石倉多美子・岡本聡・中川 洋子・藤村容子
天谷由紀子・酒井暁美・みつ木もも花
中嶋安子・西沢葉火・丸山健三
早川柚香・海神瑠珂
佐野由利子・中前棋人・米山明日歌
青砥和子・安藤なみ・稲垣康江・瀧村小奈生・長岡みゆき・中川喜代子・猫田千恵子・松長一歩・丸山進・宮田恵里・三好光明・安井紀代子
竹尾佳代子・西脇祥貴・山口亜都子
大谷のり子・北村幸子・重森恒雄・中島順子・林操・峯裕見子
市井美春・岩根彰子・蟹口和枝・河村啓子・木口雅裕・木戸利枝・谷口文・藤本花枝・山本知佳子・和田洋子
浅井ゆず・雨森茂喜・小川佳恵・小原由佳・笠嶋恵美子・川田由紀子・岸井ふさゑ・小林康浩・寺川弘一・道家えい子・峯島妙・宮井いずみ・山里はるえ
猪塚廣海・大山ありる・川西則子・黒田弥生・妹尾凛・坪井篤子・中西南子・八上桐子
中村せつこ・ひとり静・柳本惠子
斉尾くにこ
石橋芳山
小林茂子・永見心咲・藤井智史
笹重耕三
徳長怜
青野舞・大内せつ子・郷田みや・田中なお・土居新山・松木慎吾・湊圭伍・村山浩吉・山内房子・吉原美佐
小野善江
柴田美都・城後朱美・もりともみち
いわさき楊子
宮田勉
計160名
たくさんのご応募、ありがとうございました。
佳作44 | 424回混ぜて変になる | 飯島章友(東京都) |
佳作43 | 変な子ね 人間が怖いだなんて | 斎籐泰子(秋田県) |
佳作42 | ヘンシーンと母は童女になってゆく | 林 操(滋賀県) |
佳作41 | いじめに合って地球とうとう変になり | 藤本花枝(京都府) |
佳作40 | 変な家だ四角いスイカ出してくる | 松木慎吾(愛媛県) |
佳作39 | アレンジをしながら生きた瓶の中 | 渡邊こあき(青森県) |
佳作38 | 七変化リアルな僕を見失う | 石澤はる子(青森県) |
佳作37 | 母は今だまし絵の中遊んでる | 道家えい子(大阪府) |
佳作36 | 生きててね茄子の漬物いい色に | 山里はるえ(大阪府) |
佳作35 | 見つめている内に真っ直ぐになった | 和田洋子(京都府) |
佳作34 | 包丁を握ると変な気が起こる | 松長一歩(愛知県) |
佳作33 | 怖い怖い変化という物語 | 田中 薫(青森県) |
佳作32 | 見える見えない見せられないがどこも変 | 早川柚香(岐阜県) |
佳作31 | 変わっても変わらなくてもほらわたし | まきこ(青森県) |
佳作30 | 煮詰めると変わった僕の影が出来 | 坂本清乃(青森県) |
佳作29 | あなたですか背中に愛を入れたのは | 市井美春(京都府) |
佳作28 | さよならの明るいほうが酔芙蓉 | 瀧村小奈生(愛知県) |
佳作27 | へんてこにへんてこりんがかみついた | 中前棋人(静岡県) |
佳作26 | このままでいいこのままでこのままで | 田中 薫(青森県) |
佳作25 | 老いてゆく速度落とせと笛を吹く | 山里はるえ(大阪府) |
佳作24 | 変わるよりありのままでと見つめられ | 稲垣康江(愛知県) |
佳作23 | 変わること変わらぬことも瓶の外 | 岩崎眞里子(青森県) |
佳作22 | 変ですか愛してるって言えなくて | 川西則子(兵庫県) |
佳作21 | たったひとつで変貌した地球よ | 稲垣康江(愛知県) |
佳作20 | おもしろは変てこりんの進化形 | 中西南子(兵庫県) |
佳作19 | 歯ブラシが一本消えて月おぼろ | 井上健蔵(青森県) |
佳作18 | ♂と♀たまに二つは入れ変わる | 松長一歩(愛知県) |
佳作17 | 日曜日ふっとわたしが冬になる | 芝岡かんえもん(神奈川県) |
佳作16 | ほんとかな風の後ろ側にまわる | 藤田めぐみ(東京都) |
佳作15 | 夕焼けのきまり時代と共にある | 岩崎眞里子(青森県) |
佳作14 | 改心をしても所詮は紙コップ | 田中なお(愛媛県) |
佳作13 | 友だちのいない私は変ですか | 日下部敦世(千葉県) |
佳作12 | 石ころがひとつも落ちていない道 | 佐々木智恵子(秋田県) |
佳作11 | 優しさでしょうか日付がまた変わる | 佐々木智恵子(秋田県) |
佳作10 | 変ですね悪いところがありません | 下村 修(神奈川県) |
佳作9 | 変わりはないかとブランコを揺さぶる | 笹田かなえ(青森県) |
佳作8 | じつにまあプラスチックな一日で | 徳長 怜(徳島県) |
佳作7 | 口紅がとてもお外に出たがつて | 河村啓子(京都府) |
佳作6 | ウィンカーは出したか髭は剃ったのか | jessica-heart(青森県) |
佳作5 | 狂うこと忘れずにいる腕時計 | 谷沢けい子(新潟県) |
佳作4 | いま生まれ変わるなら三ツ矢サイダー | 妹尾凛(兵庫県) |
佳作3 | 人になるまで回し続けている轆轤 | 芝岡かんえもん(神奈川県) |
佳作2 | 変わらないね水の部分を見せ合って | 瀧村小奈生(愛知県) |
佳作1 | 名を変えるそっと薄紙剥ぐように | 峯島 妙(大阪府) |
秀逸5 | 流れゆく変わらぬ方を上にして | 柳本惠子(奈良県) |
秀逸4 | 虫が鳴く虫になれるか私泣く | 大谷のり子(滋賀県) |
秀逸3 | 人として生まれたはずの信号機 | 水城鉄茶(茨城県) |
秀逸2 | 崩れたらわたし金平糖になる | jessica-heart(青森県) |
秀逸1 | 電柱にかわってくれと頼まれる | 中前棋人(静岡県) |
特選 | ボウリング場にわたしの箸がない | 水城鉄茶(茨城県) |
今回も課題「変」のおかげか、新しい、おもしろい句がたくさん集まった。
全国でもめずらしいネットだけからの投句。このため、高齢者の参加が少なくなったのか、以前にくらべ、句幅が狭くなった。
参加者の年齢の幅をひろげるいい方法があればと思う。
【秀逸】
流れゆく変わらぬ方を上にして
生きるためにくり返している大事なことは、そんなに大きく変わらない。
作者はそのことを大切にしたいと思っている。「上にして」がいい。
虫が鳴く虫になれるか私泣く
人間がいくら泣いても虫にはなれない。不思議なことは、鳥の声もそうだが、人間に心地よく聞こえてくることである。
人として生まれたはずの信号機
人間のことをよく考えて作られた信号機。だから我々の仲間である。
そう思えば、信号は守らなければならない。
崩れたらわたし金平糖になる
「崩れたら」がおもしろい。
金平糖を作るには熟練した技術が必要である。また、その魅力あるかたちを思えば、こんな気持ちになる。
電柱にかわってくれと頼まれる
両手をひっぱられるように立っている電柱を見上げていると、とても無理だと思う。いくら頼まれても電柱にはなれない。お断りするしかない。
【特選】
ボウリング場にわたしの箸がない
ボウリング場でマイボールのように「わたしの箸がありません」と言えば、変な人と思われるだけである。
もしかしたら「わかりました。すぐご用意します」と、係の人があらわれるかもしれない。
佳作44 | わたくしの水平線がゆがんでる | 道家えい子(大阪府) |
佳作43 | 変色の月 返品試みる | 一 帆(秋田県) |
佳作42 | 会うことが変になったら出来上がり | 朧(千葉県) |
佳作41 | じゅうぶんに変則的な夜明けです | はるのあきこ(東京都) |
佳作40 | 変顔を笑い合ってる縄文人 | 小野善江(高知県) |
佳作39 | 側溝に変わり果てたる雨合羽 | 宮田 勉(宮崎県) |
佳作38 | 変声期過ぎると昼が怖くなる | 北村幸子(滋賀県) |
佳作37 | 私に今 貫入が始まった | 徳長 怜(徳島県) |
佳作36 | 約束はサ変待ちあぐねてカ変 | 葉 閑女(青森県) |
佳作35 | 鶏頭の裏のあたりがちょっと変 | 峯 裕見子(滋賀県) |
佳作34 | 電柱にかわってくれと頼まれる | 中前棋人(静岡県) |
佳作33 | ガンダムも俺にも再度変声期 | 酒井暁美(福井県) |
佳作32 | 軋ませて曲げてゲイジュツらしくする | いわさき楊子(熊本県) |
佳作31 | 変わりはないかとブランコを揺さぶる | 笹田かなえ(青森県) |
佳作30 | 一瞬を揺らしてきたよ変声期 | ひとり静(奈良県) |
佳作29 | 変異株よ止まれ名月ではないか | 岡本 聡(石川県) |
佳作28 | 変わらないね水の部分を見せ合って | 瀧村小奈生(愛知県) |
佳作27 | むずむずと春に暴れる変電所 | 藤井智史(岡山県) |
佳作26 | へんてこにへんてこりんがかみついた | 中前棋人(静岡県) |
佳作25 | 七番が変な具合に効いている | 重森恒雄(滋賀県) |
佳作24 | 崩れたらわたし金平糖になる | jessica-heart(青森県) |
佳作23 | ♭をみな取り外し転生す | 浅井ゆず(大阪府) |
佳作22 | 感動が変換されて雨の音 | 八上桐子(兵庫県) |
佳作21 | 喪が明ける滴が虹に変わるとき | 村上あつこ(青森県) |
佳作20 | 流れゆく変わらぬ方を上にして | 柳本惠子(奈良県) |
佳作19 | 見るからに変な鼻毛も飼育する | 朧(千葉県) |
佳作18 | さっきから奥歯に変が挟まって | 雨森茂喜(大阪府) |
佳作17 | 放生会変なところを光らせて | 峯 裕見子(滋賀県) |
佳作16 | 煮詰めると変わった僕の影が出来 | 坂本清乃(青森県) |
佳作15 | 口紅がとてもお外に出たがつて | 河村啓子(京都府) |
佳作14 | 改心をしても所詮は紙コップ | 田中なお(愛媛県) |
佳作13 | ひっそりとお酢に変身する祖父母 | 小沢 史(東京都) |
佳作12 | 武士道も変異しながらゴミを出す | 井上健蔵(青森県) |
佳作11 | ねぎらってくれるマイナスドライバー | 夏草ふぶき(青森県) |
佳作10 | 変態の野原は自由席でした | 西脇祥貴(三重県) |
佳作9 | 日曜日ふっとわたしが冬になる | 芝岡かんえもん(神奈川県) |
佳作8 | 婆さんが夜と云うから今は夜 | 岩根彰子(京都府) |
佳作7 | 歯ブラシが一本消えて月おぼろ | 井上健蔵(青森県) |
佳作6 | もこもこッと産まれぺにゃりと暮らすなり | 西脇祥貴(三重県) |
佳作5 | 変声期くりきんとんかみふうせん | 尾崎良仁(千葉県) |
佳作4 | 軋ませて曲げてゲイジュツらしくする | いわさき楊子(熊本県) |
佳作3 | 婆さんが夜と云うから今は夜 | 岩根彰子(京都府) |
佳作2 | 日曜日ふっとわたしが冬になる | 芝岡かんえもん(神奈川県) |
佳作1 | ペヤングの湯切りがもはや求道者 | 八上桐子(兵庫県) |
秀逸5 | 消失点追い消失点になり消 | 辻 述(東京都) |
秀逸4 | 424回混ぜて変になる | 飯島章友(東京都) |
秀逸3 | さよならの明るいほうが酔芙蓉 | 瀧村小奈生(愛知県) |
秀逸2 | でんぷんが沈んだころにあいましょう | 米山明日歌(静岡県) |
秀逸1 | こうちゃんは変身のあと仕舞われる | 青砥和子(愛知県) |
特選 | マネキン家族つるつると不変です | 小野善江(高知県) |
特選 マネキン家族つるつると不変です
「つるつる」という言葉から、この一年わたしの指が触ったものについて考えた。アクリル板、スマホやタブレットの画面、キーボード。みんなつるつるだ。アバターに姿を変え、液晶ごしに人に会う。そこには匂いも温度もない。温かくて柔らかい、孫たちの頬に触れなかった。友だちの手に触れなかった、肩を抱いたりできなかったことを今更のように思い出す。「つるつる」という、お茶目で明るい言葉も使われ方次第で不気味で不穏な言葉に変わる。あ、これも「変」だと思った。
秀逸5 こうちゃんは変身のあと仕舞われる
秀逸4 でんぷんが沈んだころにあいましょう
秀逸3 さよならの明るいほうが酔芙蓉
秀逸2 424回混ぜて変になる
秀逸1 消失点追い消失点になり消
川柳は日々のなにげない暮らしから生まれる。だからとうぜん、秀逸の作品群にも「不穏」や「不安」や「孤」が底に沈んでいるのを感じるものが多くなった。
それはせっかく変身してこれからという時に「仕舞われる」ことであったり、あえるのは「沈んだころ」であったりする。「こうちゃん」の無念に誰も報いられない。
やっと沈んだと思ったでんぷんは少しの揺れでまた水を濁す。そして、また待つ時間がはじまる。あえるときが遠のく。第五波だか第六波がきて。
それでもわたしたちはよろよろと歩み寄る。少しでも明るいさよならの方へ。酔芙蓉の薄い花びらは陽を透かし「さよなら」と「酔芙蓉」サ行の音が映像にほのあかるさをもたらす。
424という数字の無意味さも数え続ける執拗さもヘンである。だけど424で変になっても、次の425回目にはもとに戻るかもしれないのだ。
たとえば『モナリザの微笑』の中に、あるいは家族写真の中に消失点を見出し、そこに紛れることで孤独も消失するかもしれない。「消」の先にあるのはただの無ではないように思える。
川柳はなにげない暮らしの中から生まれると、先に述べた。そんな川柳を読むのもまた、暮らしの中でのことである。結果として、2021年という年の特殊な状況からしか生まれえなかった選でもあったような気がする。
佳作44 | 変なおじさんがボクの町にも居る | 上原 稔(東京都) |
佳作43 | 鶏頭の裏のあたりがちょっと変 | 峯 裕見子(滋賀県) |
佳作42 | 線状降水帯それって 変ね | 岡本 聡(石川県) |
佳作41 | 見える見えない見せられないがどこも変 | 早川柚香(岐阜県) |
佳作40 | カブスズナカブラカブラナ変異蕪 | 早川柚香(岐阜県) |
佳作39 | さっきから奥歯に変が挟まって | 雨森茂喜(大阪府) |
佳作38 | ねぎらってくれるマイナスドライバー | 夏草ふぶき(青森県) |
佳作37 | 政変の端にポツンと待合所 | 小林茂子 (岡山県) |
佳作36 | 流れゆく変わらぬ方を上にして | 柳本惠子(奈良県) |
佳作35 | 変身をしました消えてしまいました | 柴田美都(福岡県) |
佳作34 | 黒変のバナナの吐息 密ですよ | 入江亜子(大山ありる)(兵庫県) |
佳作33 | 初恋の人と立ち入る変電所 | 西沢葉火(長野県) |
佳作32 | 変声期くりきんとんかみふうせん | 尾崎良仁(千葉県) |
佳作31 | うまそうな背中になって逃げて行く | 川田由紀子(大阪府) |
佳作30 | マヨネーズ下さい今朝の花らっきょ | 永見心咲(岡山県) |
佳作29 | 安達、井川…渡辺、青木、大久紙魚 | 河野潤々(北海道) |
佳作28 | 貧困者用無段階変速機 | 小林康浩(大阪府) |
佳作27 | ほんとかな風の後ろ側にまわる | 藤田めぐみ(東京都) |
佳作26 | 一億人中九九九九九九九九人は 変 | 浪越靖政(北海道) |
佳作25 | また失くす変わりボタンの三番目 | 笹田かなえ(青森県) |
佳作24 | 七番が変な具合に効いている | 重森恒雄(滋賀県) |
佳作23 | 変ロ短調に大福叱られる | 小沢 史(東京都) |
佳作22 | 変わりはないかとブランコを揺さぶる | 笹田かなえ(青森県) |
佳作21 | 毛布掛けても異音がするわ あなた | 湊 圭伍(愛媛県) |
佳作20 | これ以上タルトタタンを責めないで | 黒田 弥生(兵庫県) |
佳作19 | 改心をしても所詮は紙コップ | 田中なお(愛媛県) |
佳作18 | 翅つけて昔はなかったことにする | 河村啓子(京都府) |
佳作17 | 崩れたらわたし金平糖になる | jessica-heart(青森県) |
佳作16 | 金木犀テクマクマヤコン流星群 | 竹尾佳代子(三重県) |
佳作15 | 仮面ライダーになりそこなった変異株 | きさらぎ彼句吾(青森県) |
佳作14 | サ行なら変格してもいいのでは | 土居新山(愛媛県) |
佳作13 | 電柱にかわってくれと頼まれる | 中前棋人(静岡県) |
佳作12 | 歯ブラシが一本消えて月おぼろ | 井上健蔵(青森県) |
佳作11 | 変わるわよくすぐったくて痛いけど | 赤石ゆう(秋田県) |
佳作10 | ここまではフラットそこからキリギリス | 柴田美都(福岡県) |
佳作9 | 変ホ長調響かせている「ほ」の時間 | 石橋芳山(島根県) |
佳作8 | まがいものになるまでカサブランカだった | 滋野さち(青森県) |
佳作7 | ウィンカーは出したか髭は剃ったのか | jessica-heart(青森県) |
佳作6 | きれいネと言って 変色しますから | 村山浩吉(愛媛県) |
佳作5 | トンカラリンヘンテコリンとしがらみる | 河野潤々(北海道) |
佳作4 | ♭をみな取り外し転生す | 浅井ゆず(大阪府) |
佳作3 | でんぷんが沈んだころにあいましょう | 米山明日歌(静岡県) |
佳作2 | 韻の踏み方変顔の作り方 | 赤石ゆう(秋田県) |
佳作1 | お静かにシカクがマルに変わります | 郷田みや(愛媛県) |
秀逸5 | じつにまあプラスチックな一日で | 徳長 怜(徳島県) |
秀逸4 | 変なとこでアカミミガメが手を振るの | 守田啓子(青森県) |
秀逸3 | いま生まれ変わるなら三ツ矢サイダー | 妹尾 凛(兵庫県) |
秀逸2 | 変電所たぬきの皮が干してある | 酒井暁美(福井県) |
秀逸1 | ボウリング場にわたしの箸がない | 水城鉄茶(茨城県) |
特選 | 424回混ぜて変になる | 飯島章友(東京都) |
424回混ぜて変になる
「変」になるのはつくづくたいへんなことなのだと思った。何せ、424回も混ぜなければならないのだから。さぞや腕の方も「変」になったであろう。数え続けたのだろうか。語呂がいいのだろうか。決まりでもあるのだろうか。いやいや大嘘だろう。しかし、この嘘に騙されてみようと思う。「変」は混ぜたモノなのか、混ぜたヒトなのか。たぶんどっちもだろう。
ボウリング場にわたしの箸がない
ボウリング場は公共の遊技場だから、マイボールやマイシューズはあっても、マイ箸なんてあるはずがない。しかし、それがあたかもわたしの箸がないことを変であるようにいけしゃあしゃあと言い募る。まさしく「変」である。
変電所たぬきの皮が干してある
変電所は高い山の上にあることが多いので、その付近にはたぬきも住んでいるだろう。ひょっとして、狩猟して、皮を干していることもあるかもしれない。しかし、「変電所」と「たぬきの皮」の組み合わせはやっぱり「変」なのだ。
いま生まれ変わるなら三ツ矢サイダー
「いま」が効いている。たぶん「いま」だけだからそう思ったのであって、すぐに気は変わるだろう。三ツ矢サイダーの泡のようにシュワッと湧いて、すぐに消える。生まれ変わりたいものはたぶんいっぱいある。じっくり考えると美人とか金持ちとか俗っぽいものばかりをつい思い浮かべてしまう。しかし、いまは透明で潔い「三ツ矢サイダー」がなんとカッコいいのかという心境なのだろう。
変なところでアカミミガメが手を振るの
アカミミガメ自体にお目にかかったことがないのに、アカミミガメが手を振る姿を想像してみた。「変なところ」という場所よりも、その格好の方が絶対に「変」である。
じつにまあプラスチックな一日で
「プラスチックな一日」を「変」と捉えたところがポイントだろう。
佳作44 | 変な子ね 人間が怖いだなんて | 斎籐泰子(秋田県) |
佳作43 | 相変わらず雀カアカア泣いている | 天谷由紀子(福井県) |
佳作42 | 一億人中九九九九九九九九人は 変 | 浪越靖政(北海道) |
佳作41 | さっきから奥歯に変が挟まって | 雨森茂喜(大阪府) |
佳作40 | 憎しみも薄れた ジーンズも褪せた | 斎籐泰子(秋田県) |
佳作39 | なぜだろう行き交う星がみな刺さる | きさらぎ彼句吾(青森県) |
佳作38 | ウィンカーは出したか髭は剃ったのか | jessica-heart(青森県) |
佳作37 | 軋ませて曲げてゲイジュツらしくする | いわさき楊子(熊本県) |
佳作36 | シグナルが鳴り続けてる心技体 | まきこ(青森県) |
佳作35 | 崩れたらわたし金平糖になる | jessica-heart(青森県) |
佳作34 | 変なとこでアカミミガメが手を振るの | 守田啓子(青森県) |
佳作33 | 変化球飛んでくるとはつゆ知らず | 青野 舞(愛媛県) |
佳作32 | 包丁を握ると変な気が起こる | 松長一歩(愛知県) |
佳作31 | これ以上タルトタタンを責めないで | 黒田弥生(兵庫県) |
佳作30 | 政変の端にポツンと待合所 | 小林茂子 (岡山県) |
佳作29 | 変わらんでええよ蚯蚓はそのままで | 猪塚廣海(兵庫県) |
佳作28 | 変化球受ければ電源が落ちる | みつ木もも花(福井県) |
佳作27 | 四日目にはひんやりと夕暮れのS | 守田啓子(青森県) |
佳作26 | 変な家だ四角いスイカ出してくる | 松木慎吾(愛媛県) |
佳作25 | お静かにシカクがマルに変わります | 郷田みや(愛媛県) |
佳作24 | ボクだよとルビンの壺を渡される | みつ木もも花(福井県) |
佳作23 | カブスズナカブラカブラナ変異蕪 | 早川柚香(岐阜県) |
佳作22 | 石ころがひとつも落ちていない道 | 佐々木智恵子(秋田県) |
佳作21 | 見つめている内に真っ直ぐになった | 和田洋子(京都府) |
佳作20 | うまそうな背中になって逃げて行く | 川田由紀子(大阪府) |
佳作19 | もこもこッと産まれぺにゃりと暮らすなり | 西脇祥貴(三重県) |
佳作18 | 変電所たぬきの皮が干してある | 酒井暁美(福井県) |
佳作17 | 変身をするからと穴掘っている | 山本知佳子(京都府) |
佳作16 | サロメから七つのヴェール渡される | 黒田弥生(兵庫県) |
佳作15 | へんてこにへんてこりんがかみついた | 中前棋人(静岡県) |
佳作14 | 水色の変異が気にかかる 多少 | 安藤なみ(愛知県) |
佳作13 | 変わるわよくすぐったくて痛いけど | 赤石ゆう(秋田県) |
佳作12 | お隣のカレーの匂い事件よきっと | 佐藤雅秀(青森県) |
佳作11 | 424回混ぜて変になる | 飯島章友(東京都) |
佳作10 | 変ですね悪いところがありません | 下村 修(神奈川県) |
佳作9 | 七番が変な具合に効いている | 重森恒雄(滋賀県) |
佳作8 | あなたですか背中に愛を入れたのは | 市井美春(京都府) |
佳作7 | じつにまあプラスチックな一日で | 徳長 怜(徳島県) |
佳作6 | 雷に打たれてからはなんか変 | 岸井ふさゑ(大阪府) |
佳作5 | でんぷんが沈んだころにあいましょう | 米山明日歌(静岡県) |
佳作4 | 毛布掛けても異音がするわ あなた | 湊 圭伍(愛媛県) |
佳作3 | 変わらないね水の部分を見せ合って | 瀧村小奈生(愛知県) |
佳作2 | 父さん入れて悲惨な色になるジュース | 浅井ゆず(大阪府) |
佳作1 | きっとみなコックピットをもっている | 佐藤春子(秋田県) |
秀逸5 | 七変化 別料金になりますが | 小林茂子 (岡山県) |
秀逸4 | ひっそりとお酢に変身する祖父母 | 小沢 史(東京都) |
秀逸3 | 紫のさくら咲いたの秋ですもの | 高木まあこ(青森県) |
秀逸2 | 変わりはないかとブランコを揺さぶる | 笹田かなえ(青森県) |
秀逸1 | 鶏頭の裏のあたりがちょっと変 | 峯 裕見子(滋賀県) |
特選 | 電柱にかわってくれと頼まれる | 中前棋人(静岡県) |
今回は比較的選がスムーズにできたような気がします。それがいいのか悪いのかわかりませんが、私の中での基準が定めやすかったということです。
「変顔」が目についたのは、ユーチュウブ、SNSなどでこのコロナ禍の楽しみとして流れていたからでしょうか。また「変ホ長調」または「変ホ短調」「変ロ短調」等の音楽用語が気になりました。それが句のなかでどんな必然性があるのか、たとえそこで切れて飛躍を生むための言葉だとしても、読み手をざわざわさせるには難しさがあったように思いました。
特選 電柱にかわってくれと頼まれる
集句のなかで、一読明解でユーモアと哀しみにあふれており、理屈でないおもしろさがありました。電柱は電柱という存在に、私は私という存在に、嫌気がさすことがあります。しかし、誰もが誰かに代わってあげることなど不可能なわけで、電柱は電柱を生きなければなりません。そこにユーモアと哀切があることに気づかせてくれた一句でした。
秀逸 鶏頭の裏のあたりがちょっと変
ニワトリなのか燃えるような色をしたケイトウの花なのかわかりませんが、裏にあたるちょっとした部分の違和感が、日常を狂わせるほどではないけれど、結構気になることです。耳の裏に湿疹ができちょっと変になるようなものでしょうか。ちょっと変がこれからどんな変化をするのか、しないのか暗示的です。
秀逸 ひっそりとお酢に変身する祖父母
古くなるとみんなお酢になるのです。ワインだってビネガーに。ひっそりといつの間にかなるのです。お酢になったことも知らないおじいさんおばあさんです。人生を100年生きたお酢。奔放に生きた瀬戸内寂聴もお酢になっていたと思います。
佳作44 | 七変化 別料金になりますが | 小林茂子 (岡山県) |
佳作43 | 初恋の人と立ち入る変電所 | 西沢葉火(長野県) |
佳作42 | 要するに個性的って言うことね | まみどり(青森県) |
佳作41 | 富士登山変ニ短調的だわね | 中川喜代子(愛知県) |
佳作40 | さよならの明るいほうが酔芙蓉 | 瀧村小奈生(愛知県) |
佳作39 | 変わらないね水の部分を見せ合って | 瀧村小奈生(愛知県) |
佳作38 | きれいネと言って 変色しますから | 村山浩吉(愛媛県) |
佳作37 | ジャイアンへニューノーマルの雨が降る | もり ともみち(福岡県) |
佳作36 | 変換キー押し間違えて生き返る | 笠嶋恵美子(大阪府) |
佳作35 | ひっそりとお酢に変身する祖父母 | 小沢 史(東京都) |
佳作34 | 見つめている内に真っ直ぐになった | 和田洋子(京都府) |
佳作33 | ボクだよとルビンの壺を渡される | みつ木もも花(福井県) |
佳作32 | 画素数を変えるときっと叶う夢 | 土居新山(愛媛県) |
佳作31 | サロメから七つのヴェール渡される | 黒田弥生(兵庫県) |
佳作30 | 側溝に変わり果てたる雨合羽 | 宮田 勉(宮崎県) |
佳作29 | 金木犀テクマクマヤコン流星群 | 竹尾佳代子(三重県) |
佳作28 | でんぷんが沈んだころにあいましょう | 米山明日歌(静岡県) |
佳作27 | 貧困者用無段階変速機 | 小林康浩(大阪府) |
佳作26 | 「混ぜるな危険」そんなわたしでよかったら | 大内せつ子(愛媛県) |
佳作25 | ひとつだけヴィーナスの立つ帆立貝 | 斉尾くにこ(鳥取県) |
佳作24 | シャーレにて交わる可変的な家 | 藤井智史(岡山県) |
佳作23 | 波乱つづきの今日を炒めておきましょう | 天谷由紀子(福井県) |
佳作22 | 雷に打たれてからはなんか変 | 岸井ふさゑ(大阪府) |
佳作21 | アニミズム的なさざなみを説く蜥蜴 | 勝又明城(宮城県) |
佳作20 | これ以上タルトタタンを責めないで | 黒田弥生(兵庫県) |
佳作19 | 変ですね悪いところがありません | 下村 修(神奈川県) |
佳作18 | 七番が変な具合に効いている | 重森恒雄(滋賀県) |
佳作17 | 鶏頭の裏のあたりがちょっと変 | 峯 裕見子(滋賀県) |
佳作16 | 変異する脳細胞のプチプチ | 木口雅裕(京都府) |
佳作15 | 優しさでしょうか日付がまた変わる | 佐々木智恵子(秋田県) |
佳作14 | サ行なら変格してもいいのでは | 土居新山(愛媛県) |
佳作13 | ここまではフラットそこからキリギリス | 柴田美都(福岡県) |
佳作12 | 放生会変なところを光らせて | 峯 裕見子(滋賀県) |
佳作11 | ペヤングの湯切りがもはや求道者 | 八上桐子(兵庫県) |
佳作10 | 長い長い橋の途中に甘味処 | 佐藤雅秀(青森県) |
佳作9 | じゅうぶんに変則的な夜明けです | はるのあきこ(東京都) |
佳作8 | じつにまあプラスチックな一日で | 徳長 怜(徳島県) |
佳作7 | ブルカの下で変わっていくジャスミン | 滋野さち(青森県) |
佳作6 | 憎しみも薄れた ジーンズも褪せた | 斎籐泰子(秋田県) |
佳作5 | 墓は連結器 汽車好きの修司 | 宮本彩太郎(東京都) |
佳作4 | 約束はサ変待ちあぐねてカ変 | 葉 閑女(青森県) |
佳作3 | トンカラリンヘンテコリンとしがらみる | 河野潤々(北海道) |
佳作2 | 変をすり抜けるアヴィニョンの娘たち | ひとり静(奈良県) |
佳作1 | 創世記 変な卵と変な種 | 寺川弘一(大阪府) |
秀逸5 | 韻の踏み方変顔の作り方 | 赤石ゆう(秋田県) |
秀逸4 | 変色の月 返品試みる | 一 帆(秋田県) |
秀逸3 | 父さん入れて悲惨な色になるジュース | 浅井ゆず(大阪府) |
秀逸2 | 本能寺の煙りに今もむせている | 板谷達彦(富山県) |
秀逸1 | 嘴の長さを変えて自白する | 田中なお(愛媛県) |
特選 | カブスズナカブラカブラナ変異蕪 | 早川柚香(岐阜県) |
今回の題「変」はおもしろい作品が集まりました。つかみどころがないので、最後まで迷って迷って元気になれたような気がしています。
【秀逸】
韻の踏み方変顔の作り方
この頃「変顔」を作って笑わせるのが人気らしい。かわいく見せたい自分を捨てて別人になってしまうのは勇気がいります。「韻の踏み方」との取り合わせで良いリズム感が生まれました。
変色の月 返品試みる
ネット注文の月が届きました。でもちょっと気にいらないのですが、どうしましょう。空想の楽しさが伝わってきます。
父さん入れて悲惨な色になるジュース
父さんはほんとうに淋しいものですね。「悲惨な色」に最初はあっと思いおもしろくて、おかしくて、それからじんわりと悲しくなりました。
本能寺の煙りに今もむせている
「今もむせている」の大袈裟な表現がおもしろい。あの時代に生まれなくてほんとうに良かったなと思います。
いろいろありますが、なんとか今まで生きてこられたのは幸運でした。
嘴の長さを変えて自白する
「嘴の長さを変える」なんてありえないけれど、ひょっとしてあるのかもしれないなあと読者に想像させてとても可笑しい。「自白」なら大変な決断なのでありえます。
【特選】
カブスズナカブラカブラナ変異蕪
蕪の呼び方はさまざまあります。
カブスズナ????と読んでいくとなんだか蕪が変異しているような気分になります。変異株ではなくて変異蕪。言葉を遊ぶのは楽しい。今のこの時代だからこその印象的な作品で心に残りました。変異株に負けないように明るい気持ちになれたらいいですね。
佳作44 | 温暖化へそが背中に回る変 | 猪塚廣海(兵庫県) |
佳作43 | 富士登山変ニ短調的だわね | 中川喜代子(愛知県) |
佳作42 | 変異株よ止まれ名月ではないか | 岡本 聡(石川県) |
佳作41 | 燃料棒をクンクン嗅ぐのは変ですね | 笹田隆志(青森県) |
佳作40 | 変身願望 総入れ歯を外す | 三浦蒼鬼(青森県) |
佳作39 | へんてこにへんてこりんがかみついた | 中前棋人(静岡県) |
佳作38 | 飲み込んだタイムカプセルから発芽 | 和田洋子(京都府) |
佳作37 | きれいネと言って 変色しますから | 村山浩吉(愛媛県) |
佳作36 | 翅つけて昔はなかったことにする | 河村啓子(京都府) |
佳作35 | 変化球受ければ電源が落ちる | みつ木もも花(福井県) |
佳作34 | 長い長い橋の途中に甘味処 | 佐藤雅秀(青森県) |
佳作33 | イメチェンの所々に加齢臭 | ひとは(青森県) |
佳作32 | 変わるわよくすぐったくて痛いけど | 赤石ゆう(秋田県) |
佳作31 | 脳内の変則五叉路つっきって | いわさき楊子(熊本県) |
佳作30 | 本能寺の煙りに今もむせている | 板谷達彦(富山県) |
佳作29 | 喪が明ける滴が虹に変わるとき | 村上あつこ(青森県) |
佳作28 | ウィンカーは出したか髭は剃ったのか | jessica-heart(青森県) |
佳作27 | ボクだよとルビンの壺を渡される | みつ木もも花(福井県) |
佳作26 | 人になるまで回し続けている轆轤 | 芝岡かんえもん(神奈川県) |
佳作25 | まがいものになるまでカサブランカだった | 滋野さち(青森県) |
佳作24 | 変身をしました消えてしまいました | 柴田美都(福岡県) |
佳作23 | 変換したら突風になっちゃった | 尾崎良仁(千葉県) |
佳作22 | 紫のさくら咲いたの秋ですもの | 高木まあこ(青森県) |
佳作21 | 嘴の長さを変えて自白する | 田中なお(愛媛県) |
佳作20 | なぜだろう行き交う星がみな刺さる | きさらぎ彼句吾(青森県) |
佳作19 | 優しさでしょうか日付がまた変わる | 佐々木智恵子(秋田県) |
佳作18 | マスカラとぎょろ目の仲はよく変わる | 安藤なみ(愛知県) |
佳作17 | 毛布掛けても異音がするわ あなた | 湊 圭伍(愛媛県) |
佳作16 | パスワードπに変えたよ 待ってろよ | 寺川弘一(大阪府) |
佳作15 | お変わりはありませんかと書くジェラシー | 安井紀代子(愛知県) |
佳作14 | 婆さんが夜と云うから今は夜 | 岩根彰子(京都府) |
佳作13 | 変な子ね 人間が怖いだなんて | 斎籐泰子(秋田県) |
佳作12 | ♂と♀たまに二つは入れ変わる | 松長一歩(愛知県) |
佳作11 | 変わっても変わらなくてもほらわたし | まきこ(青森県) |
佳作10 | あなたですか背中に愛を入れたのは | 市井美春(京都府) |
佳作9 | さっきから奥歯に変が挟まって | 雨森茂喜(大阪府) |
佳作8 | どうしても皆と同じでなきゃダメか | 海神瑠珂(岐阜県) |
佳作7 | ねぎらってくれるマイナスドライバー | 夏草ふぶき(青森県) |
佳作6 | 変換キー押し間違えて生き返る | 笠嶋恵美子(大阪府) |
佳作5 | 「混ぜるな危険」そんなわたしでよかったら | 大内せつ子(愛媛県) |
佳作4 | 電柱にかわってくれと頼まれる | 中前棋人(静岡県) |
佳作3 | 相変わらず雀カアカア泣いている | 天谷由紀子(福井県) |
佳作2 | 変ですね悪いところがありません | 下村 修(神奈川県) |
佳作1 | 包丁を握ると変な気が起こる | 松長一歩(愛知県) |
秀逸5 | 日曜日ふっとわたしが冬になる | 芝岡かんえもん(神奈川県) |
秀逸4 | 憎しみも薄れた ジーンズも褪せた | 斎籐泰子(秋田県) |
秀逸3 | 抑え込んだ怒り文字化けしてしまう | 熊谷冬鼓(青森県) |
秀逸2 | 波乱つづきの今日を炒めておきましょう | 天谷由紀子(福井県) |
秀逸1 | さよならの明るいほうが酔芙蓉 | 瀧村小奈生(愛知県) |
特選 | お静かにシカクがマルに変わります | 郷田みや(愛媛県) |
第26回杉野十佐一賞にたくさんの作品をお寄せいただきました。
この場をお借りし深く感謝を申しあげます。
お陰様で「変」な句が320句集まりました(笑)
世は新型コロナウイルスの時代。
多くの方が感染を避けるため旅行などに出掛けることもなく家に引きこもっているのではないでしょうか。
この、家に引きこもるということは、裏返して考えると川柳を作るにはほどよい環境で、今回の応募は新型コロナウイルスに関連する句が目が痛くなるほど多くなるのではないかと思いました。
ところが、3句しかありません(笑)
特選 お静かにシカクがマルに変わります
最初この句を見たとき、どうして「お静かに四角が丸に変わります」ではないのだろうと思いました。
広辞苑で「しかく」を引くと出てくるのは「四角」「死角」「刺客」「始覚」「指画」「視角」「視覚」「詞客」「詩客」「詩格」「資格」「然く」「爾く」です。
一方の「まる」は「丸・円」だけ。
そこで、「丸・円」にぴったりの「しかく」はどれかと考えるとやはり「四角」です。
四角四面の実に堅苦しいやつが突然穏やかな丸い人になる、そんな意味の句だと考えれば心にストンと落ちるのですが、それでは「変」な句になりません。
そこで作者は漢字の「四角」「丸」にするという選択を除外したと思われます。
では、漢字の「四角」「丸」とカタカナの「シカク」「マル」はどう違うのでしょう。
読み上げられたこの句を聞くと、「シカク」「マル」が漢字で書かれているか、ひらがなやカタカナで書かれているかは分かりません。恐らく、漢字で書かれていると受け取る方が多いのではないでしょうか。
でも、選者は文字を見て句を選びます。
漢字で書かれたものと、ひらがなやカタカナで書かれたものとは明らかに違ったものとして読みます。
句を読んで鑑賞するのと、聞いて鑑賞するのとは違いがあるのです。
そこが、今回の作者の目の付けどころだったのではないでしょうか。
ひらがなでの「しかく」「まる」は、カタカナの「シカク」「マル」より柔らかな印象、逆に言えば片仮名は硬く尖った印象を選者に与えます。
ということで、「シカク」「マル」と片仮名で書いて「変」な印象を与えることにしたのだと思います。
そういうことで、この句はきちんとした「変」な句です。
ありがとうございました。
いやーどうもどうもです。これはもうクリビッツ!びっくりがひっくり返っているところです。(@@)
実は、受賞のメールを見落としていました。まあそれくらいこれは想定外のことでした。
電柱には格別な思いがありまして、その電柱から、オレをそんなにけっ飛ばすな、オレにかわってみろ、という声が聞こえてきて生まれた句です。
これが十佐一賞に届いたのでしょうか…。へこたれるな、折れるなという力をいただきました。
誠にありがとうございました。
これからは電柱に抱きつくことに(おいおい大丈夫か)したいと思っています。(^o^)