(特)由紀子・ちえみ(秀)れいこ(佳)政二・むさし
ばあちゃんが杖でつついて降らす雨
峯 裕見子(滋賀県)
コロナ禍や家人の病気などで、これまでと同じように川柳と向き合うことが、私には難しい数年が過ぎました。
それでも、なぜか十佐一賞だけは作品を送ろうと思っていました。賞品の旨いホタテ貝につられていたのかもしれませんが、無視のできないものが十佐一賞にはあるのではないかと思っています。
今回の私の、へんてこな句を選んでくださった選者の、へんてこ加減に感謝をいたします。「もう少し書きなさい、がんばれ」と背中を押していただいたと思っております。ありがとうございました。
準 賞(12点)
(秀)れいこ・茂喜・むさし(佳)政二・由紀子・ちえみ
雨するか雨しないかを決めなさい 吉松澄子(愛媛県)
【12点】 | ||
(秀)政二・由紀子・茂喜(佳)れいこ・ちえみ・むさし | ||
日曜の雨には頭からはいる | 静岡県 | 米山明日歌 |
【9点】 | ||
(秀)政二・ちえみ(佳)れいこ・由紀子・茂喜 | ||
あの雨の後ろの方にいませんか | 青森県 | 守田啓子 |
【8点】 | ||
(特)政二(佳)れいこ・由紀子・むさし | ||
雨の日は私も雨になっている | 島根県 | 石橋芳山 |
(秀)ちえみ・茂喜(佳)政二・由紀子 | ||
あした降る雨は時給でいいですか | 愛媛県 | 村山浩吉 |
(秀)政二・由紀子(佳)れいこ・ちえみ | ||
雨粒のタテヨコ測る仕事です | 大阪府 | 雨森茂喜 |
【7点】 | ||
(秀)ちえみ・茂喜(佳)由紀子 | ||
雨粒のくせに嬉しいこと言うね | 東京都 | 嫉妬林檎 |
【6点】 | ||
(特)茂喜(佳)ちえみ | ||
夜で雨でさて始めるか大僧正 | 愛知県 | 青砥和子 |
(特)れいこ(佳)ちえみ | ||
秋にする竜頭に雨を巻きとって | 兵庫県 | 八上桐子 |
(秀)由紀子(佳)ちえみ・茂喜・むさし | ||
雨なので気をつけをして酔ってます | 長野県 | 西沢葉火 |
(秀)むさし(佳)政二・由紀子・ちえみ | ||
くちびるが あめ と動いて雨になる | 徳島県 | 徳長怜 |
(秀)ちえみ(佳)れいこ・由紀子・茂喜 | ||
雨がやんでも大沢たかおに勝たれへん | 北海道 | 河野潤々 |
【5点】 | ||
(特)むさし | ||
雨雲をあやつる虹色のネイル | 大阪府 | 宮井いずみ |
(秀)れいこ(佳)茂喜・むさし | ||
縦書きの雨はくちどけまで草書 | 鳥取県 | 斉尾くにこ |
(秀)由紀子(佳)政二・れいこ | ||
そもそもの雨 100グラム下さい | 大阪府 | 雨森茂喜 |
(秀)政二(佳)れいこ・ちえみ | ||
今日播いた種をしずかに濡らす雨 | 大阪府 | 浅井ゆず |
(佳)政二・由紀子・ちえみ・茂喜・むさし | ||
黒アゲハ雨冠を置いてった | 青森県 | 熊谷冬鼓 |
(佳)政二・れいこ・由紀子・ちえみ・茂喜 | ||
つぎつぎと雨を産んでは困らせる | 秋田県 | 赤石ゆう |
【4点】 | ||
(秀)由紀子(佳)ちえみ | ||
死んだふりそれもいいわね傘がある | 青森県 | まみどり |
(秀)政二(佳)ちえみ | ||
やむまではじっとみつめているからね | 京都府 | 和田洋子 |
(秀)むさし(佳)由紀子 | ||
雨粒、の、どくん、、、で、見えた、、多島、海、、、 | 三重県 | 西脇祥貴 |
(秀)ちえみ(佳)茂喜 | ||
ちょうどいい孤独 夕立と歩く | 秋田県 | 佐渡真紀子 |
(秀)れいこ(佳)由紀子 | ||
どしゃ降りも蛇口も夏も君も楽器 | 高知県 | 小野善江 |
(秀)むさし(佳)れいこ | ||
雨音が君の声音になって 朝 | 青森県 | 葉閑女 |
(秀)茂喜(佳)むさし | ||
なにぬねと降る雨ぬれたくはないな | 大阪府 | 浅井ゆず |
(佳)政二・ちえみ・茂喜・むさし | ||
雨の日はわたしの猫になりなさい | 滋賀県 | 中島順子 |
(佳)政二・れいこ・ちえみ・むさし | ||
雨ですが仲間に入れてくれますか | 福井県 | みつ木もも花 |
(佳)れいこ・由紀子・ちえみ・茂喜 | ||
条約で春雨だけを禁止する | 大阪府 | まつりぺきん |
(佳)れいこ・由紀子・ちえみ・むさし | ||
思いきり泣かせて虹をお出しする | 静岡県 | 句ノ一 |
【3点】 | ||
(秀)むさし | ||
止まぬ雨主音の「ド」から始まった | 高知県 | 大野美恵 |
(秀)れいこ | ||
雨になりたかった冷や麦の緑 | 神奈川 | 相原あやめ |
(佳)政二・れいこ・むさし | ||
土砂降りになったら笑う時間です | 青森県 | まみどり |
(佳)政二・れいこ・由紀子 | ||
ある日ふと雨を被ってみたくなる | 愛媛県 | 郷田みや |
(佳)れいこ・由紀子・茂喜 | ||
恥ずかしい蓋からはみでている雨が | 東京都 | 飯島章友 |
(佳)政二・茂喜・むさし | ||
家系図はいつから時雨れ始めたか | 奈良県 | ひとり静 |
(佳)政二・ちえみ・茂喜 | ||
ただ降っただけなのに怒られた | 秋田県 | 田久保亜蘭 |
(佳)政二・れいこ・むさし | ||
オプションで柔らかい雨ついてくる | 大阪府 | 髙杉力 |
(佳)政二・由紀子・ちえみ | ||
きのうまで奥に雨雲棲んでいた | 京都府 | 山本知佳子 |
(佳)れいこ・由紀子・茂喜 | ||
耳鳴りと交替します雨の足 | 青森県 | 大黒谷サチエ |
(佳)政二・ちえみ・むさし | ||
雨漏りがするのでおてやわらかにね | 愛知県 | 今村美根子 |
【2点】 | ||
(佳)由紀子・茂喜 | ||
諸事情があるなら雨になりなさい | 愛媛県 | 村山浩吉 |
(佳)政二・ちえみ | ||
密室へ時雨をつれてきたんだね | 青森県 | 沢田百合子 |
(佳)政二・れいこ | ||
母のいる辺りが雨の境界線 | 兵庫県 | 筏井加代子 |
(佳)ちえみ・むさし | ||
誰の雨だろう炎上しちゃってる | 千葉県 | 尾崎良仁 |
(佳)政二・由紀子 | ||
こうなると分かっていました雨と雨 | 愛媛県 | 郷田みや |
(佳)れいこ・茂喜 | ||
にわか雨キュキュッとしまるひらめ筋 | 青森県 | 佐藤寿見子 |
(佳)ちえみ・むさし | ||
雨粒の全てに般若波羅蜜多 | 福岡県 | もりともみち |
(佳)由紀子・茂喜 | ||
ラ・フランスを齧る雨月物語 | 京都府 | 岩根 彰子 |
(佳)れいこ・由紀子 | ||
すこしずつ空をずらしているトンビ | 静岡県 | 句ノ一 |
(佳)れいこ・むさし | ||
悪役も虹になってるころでしょう | 秋田県 | 佐藤春子 |
(佳)政二・由紀子 | ||
ミシン目の雨 家で、家で死にたい | 兵庫県 | 八上桐子 |
(佳)れいこ・むさし | ||
雨音も星も担いで行きましょう | 東京都 | はるのあきこ |
(佳)政二・れいこ | ||
降りつづく雨もつぎつぎ違う雨 | 宮崎県 | てつろう |
(佳)ちえみ・茂喜 | ||
雨男という仕事を持っている | 神奈川県 | 下村修 |
(佳)茂喜・むさし | ||
足跡を残して雨が生えている | 長野県 | 西沢葉火 |
(佳)ちえみ・茂喜 | ||
黄金の雨をダナエと分かち合う | 兵庫県 | 黒田弥生 |
(佳)れいこ・ちえみ | ||
家族写真に耳を寄せれば雨の音 | 東京都 | 小沢史 |
(佳)れいこ・茂喜 | ||
降る雨は左耳にて沼になる | 兵庫県 | 筏井加代子 |
(佳)由紀子・茂喜 | ||
へこんでるお臍へラテン系の雨 | 鳥取県 | 斉尾くにこ |
(佳)由紀子・ちえみ | ||
アメフラシ王に来世はなる絶対 | 東京都 | 飯島章友 |
(佳)政二・茂喜 | ||
いっぱい雨を見てきたネコの潤んだ目 | 青森県 | 笹田かなえ |
(佳)茂喜・むさし | ||
雨の午後二時四十分のドーナツ屋 | 愛知県 | 猫田千恵子 |
(佳)れいこ・むさし | ||
どしゃ降りで終わる交響曲五番 | 滋賀県 | 北村幸子 |
(佳)政二・れいこ | ||
思い出もあるし雨でもだいじょうぶ | 秋田県 | 斎藤泰子 |
(佳)れいこ・ちえみ | ||
外は雨 多めに付けるハッシュタグ | 大阪府 | 髙杉力 |
(佳)茂喜・むさし | ||
ヴィーナスの右手は雨傘と消えた | 神奈川 | 相原あやめ |
(佳)れいこ・由紀子 | ||
雨あめ雨ワタシ太平洋になる | 京都府 | 和田洋子 |
(佳)由紀子・茂喜 | ||
ファンクションキーの七番に雨粒が | 愛知県 | 安藤なみ |
(佳)政二・むさし | ||
しあわせな人のフリする雨宿り | 青森県 | 須藤しんのすけ |
(佳)れいこ・むさし | ||
祈らない祈り想定外の雨 | 青森県 | 三浦蒼鬼 |
(佳)れいこ・むさし | ||
雨が降る海の記憶を失くさぬように | 青森県 | 吉見恵子 |
(佳)ちえみ・むさし | ||
雨はもう覚悟決めてる金閣寺 | 青森県 | 三浦蒼鬼 |
(佳)ちえみ・むさし | ||
それはさておき姉は雨降りお月さま | 福岡県 | 柴田美都 |
(佳)れいこ・ちえみ | ||
終盤のところどころの雨やどり | 東京都 | はるのあきこ |
(佳)れいこ・ちえみ | ||
七人の活字中毒雨模様 | 秋田県 | 妹尾凛 |
(佳)茂喜・むさし | ||
雨だれをコピペしているアメフラシ | 大阪府 | 岸井ふさゑ |
(佳)ちえみ・むさし | ||
仇討ちの決め手はにわか雨でした | 東京都 | 橋元デジタル |
(佳)由紀子・むさし | ||
今日わたし雨冠の下にいる | 大阪府 | 小原由佳 |
(佳)政二・茂喜 | ||
このままになるかもしれぬ雨の音 | 滋賀県 | 重森恒雄 |
(佳)れいこ・むさし | ||
古傷も感情線も雨催い | 青森県 | きさらぎ彼句吾 |
(佳)政二・むさし | ||
妻である時間の長い長い雨 | 青森県 | 滋野さち |
(佳)政二・茂喜 | ||
置き去りにされた花柄アンブレラ | 青森県 | 熊谷冬鼓 |
(佳)ちえみ・むさし | ||
もどかしい下唇のあまもよい | 京都府 | 河村啓子 |
(佳)由紀子・ちえみ | ||
雨の夜 笑うセールスマン オッス | 愛媛県 | 大西進 |
(佳)政二・由紀子 | ||
雨脚を聞いてる障子閉じたまま | 秋田県 | 斎藤泰子 |
【1点】 | ||
(佳)政二 | ||
象は病んで冷たい雨を待っている | 滋賀県 | 峯裕見子 |
(佳)むさし | ||
雨音を口にふくんだままのキス | 滋賀県 | 北村幸子 |
(佳)茂喜 | ||
水色を忘れた雨の失態図 | 京都府 | 木戸利枝 |
(佳)れいこ | ||
先人に倣って同じ水たまり | 東京都 | 辻述 |
(佳)ちえみ | ||
すっぽんのぽんのあたりが効いて雨 | 愛知県 | 中山惠子 |
(佳)茂喜 | ||
雨の絵を圧縮した上で泳ぐ | 愛媛県 | 藤井皐 |
(佳)政二 | ||
一雨のその一粒がボクだった | 愛知県 | 松長一歩 |
(佳)茂喜 | ||
小糠雨アブラカタブラ風の街 | 青森県 | 桜田冨士江 |
(佳)ちえみ | ||
責任はてるてる坊主に取らせよう | 北海道 | 浪越靖政 |
(佳)由紀子 | ||
リゾットのようなしつこい雨が好き | 三重県 | 青砥たかこ |
(佳)由紀子 | ||
ものはいいよう雨は一色じゃない | 秋田県 | 妹尾凛 |
(佳)由紀子 | ||
大豆もおれも百科全書の雨の中 | 三重県 | 西脇祥貴 |
(佳)茂喜 | ||
家康がなんじゃもんじゃと漫ろ雨 | 静岡県 | 佐野由利子 |
(佳)由紀子 | ||
歌舞伎町タワーに挑む酸性雨 | 福岡県 | もりともみち |
(佳)むさし | ||
梅雨明けや雨垂れたちとハグをする | 神奈川県 | 芝岡かんえもん |
(佳)政二 | ||
この匂いやっぱり母は雨だった | 東京都 | 小沢史 |
(佳)由紀子 | ||
線状降水帯にはパインアメ | 岡山県 | 藤井智史) |
(佳)政二 | ||
雨垂れに沿って生きると決めた猫 | 京都府 | 蟹口和枝 |
(佳)茂喜 | ||
雨が好きだって言ったじゃない毛豆 | 秋田県 | 一帆 |
(佳)れいこ | ||
雨はまだ部屋干しシャツの袖の皺 | 岐阜県 | 早川柚香 |
(佳)政二 | ||
降りやまぬ霧雨 母の子であって | 千葉県 | 日下部敦世 |
(佳)茂喜 | ||
秋霖を合図ににんべんに戻る | 北海道 | 四ツ屋いずみ |
(佳)由紀子 | ||
雨垂れとゾイドは同級生の雨 | 北海道 | 澤野優美子 |
(佳)政二 | ||
泣きながら地上に落ちた黒い雨 | 京都府 | 西山竹里 |
(佳)由紀子 | ||
100%の雨母さんは違った | 青森県 | 田中薫 |
(佳)茂喜 | ||
ひとりになってからの雨の時刻表 | 福井県 | みつ木もも花 |
(佳)茂喜 | ||
やむまでは重機のショパン・コンクール | 熊本県 | しまもと莱浮 |
(佳)由紀子 | ||
埋めても埋めても降ってくる雨 | 愛媛県 | 藤井皐 |
(佳)むさし | ||
どしゃぶりねもう苦いもの食べられる | 東京都 | 藤田めぐみ |
(佳)由紀子 | ||
穴開いた傘の上にも雨が降る | 京都府 | 西山竹里 |
(佳)政二 | ||
味方にも敵にもなれる雨である | 青森県 | 渡邊こあき |
(佳)ちえみ | ||
雨漏りのひどい一間にある玉座 | 東京都 | 橋元デジタル |
(佳)由紀子 | ||
次は終点貧乏ゆすりと雨が止む | 愛知県 | 中山惠子 |
(佳)れいこ | ||
分母から雨で分子は水浸し | 宮崎県 | てつろう |
(佳)むさし | ||
この雨を強いて言うなら加トちゃんぺ | 青森県 | jessica |
(佳)茂喜 | ||
哲学に雨かんむりがちゃちゃ入れる | 兵庫県 | 妻木寿美代 |
(佳)ちえみ | ||
屈強な雨男どもばかりです | 熊本県 | しまもと莱浮 |
(佳)むさし | ||
「巴里は雨」唱えて会話に入ってく | 愛知県 | 安藤なみ |
(佳)政二 | ||
広重が雨を豆腐で供養する | 東京都 | 森砂季 |
(佳)茂喜 | ||
雨音の中であなたはサブリミナル | 愛知県 | 長岡みゆき |
(佳)むさし | ||
ホント・マジ・ウソ・ヤバに降る天気雨 | 岡山県 | 小林茂子 |
(佳)ちえみ | ||
雨のつく名前嫌いじゃないよパパ | 青森県 | 須藤しんのすけ |
(佳)れいこ | ||
雨音で志功版画はジャズの乗り | 大阪府 | 岸井ふさゑ |
(佳)由紀子 | ||
トリチウムマジリノ雨ガフルアサハ | 青森県 | 滋野さち |
(佳)政二 | ||
水たまりに雨の終わりをたしかめて | 京都府 | 藤本花枝 |
(佳)茂喜 | ||
ヒトサジノ雨ヲシニミズトシテイク | 青森県 | jessica |
(佳)れいこ | ||
君が触れサンバのような雨になる | 神奈川県 | 芝岡かんえもん |
(佳)むさし | ||
また虹が出たりするんだひょっこりと | 秋田県 | 佐々木智恵子 |
(佳)政二 | ||
厨房にいまも女の長い雨 | 青森県 | 吉見恵子 |
(佳)政二 | ||
三日月も雷雨も仲間水たまり | 愛知県 | 三好光明 |
(佳)茂喜 | ||
真夜中の雨 疼きだす左の乳房 | 愛媛県 | 田中なお |
(佳)れいこ | ||
アメンボウの軽さ雨粒は底へと | 愛知県 | 青砥和子 |
(佳)政二 | ||
くわしくはわかりませんが雨ふらし | 福岡県 | 柴田美都 |
(佳)由紀子 | ||
ひたすらに遺品の整理こぬか雨 | 滋賀県 | 林操 |
(佳)由紀子 | ||
麩菓子に惚れた居場所探している小雨 | 愛媛県 | 大内せつ子 |
(佳)政二 | ||
雨になる前の裸の水を見た | 島根県 | 石橋芳山 |
(佳)ちえみ | ||
懐かしい映画背中にいつも雨 | 大阪府 | 峯島妙 |
(佳)れいこ | ||
秋霖を押し分けて来る救急車 | 青森県 | 小野五郎 |
(佳)由紀子 | ||
記憶の固執アップアップJAPJAPRUNRUNRUN | 北海道 | 河野潤々 |
(佳)政二 | ||
連れですとふと番傘に目を流す | 秋田県 | 佐藤春子 |
(佳)むさし | ||
片恋の傘の石突伝う雨 | 滋賀県 | 谷 優 |
(佳)茂喜 | ||
雨粒の頭突きを喰らえ生きたまえ | 愛媛県 | 吉原美佐 |
(佳)ちえみ | ||
マジョリカの雨が降り出す洗濯機 | 京都府 | 市井美春 |
(佳)むさし | ||
音もなく濡らすあなたを好きな雨 | 埼玉県 | 織田和子 |
(佳)れいこ | ||
天気雨がまんしなくていいんだよ | 熊本県 | いわさき楊子 |
(佳)政二 | ||
すれ違う雨の匂いのする人と | 大阪府 | 笠嶋恵美子 |
(佳)茂喜 | ||
梅雨に紛れ込む女偏獣偏 | 青森県 | 千葉かほる |
(佳)ちえみ | ||
雨冠つけて野原をさまよいぬ | 愛知県 | 中川喜代子 |
(佳)ちえみ | ||
髪とけばゆうらり雨月物語 | 青森県 | 沢田百合子 |
(佳)茂喜 | ||
夕立ちのしんがりで聴くクル・セ・ママ | 北海道 | 落合魯忠 |
(佳)ちえみ | ||
鬼子母神豪雨注意報発令 | 埼玉県 | 山田こいし |
(佳)れいこ | ||
にわか雨街も心も虹が出る | 青森県 | 風情(ふぜい) |
(佳)由紀子 | ||
雨粒がぱたりぱたりと猫になる | 東京都 | 森砂季 |
(佳)むさし | ||
天高く夫婦の仲はざんざ降り | 東京都 | 上原稔 |
(佳)茂喜 | ||
雨粒のひとつひとつに味がある | 滋賀県 | 林操 |
(佳)むさし | ||
雨でしたファーストキスもお別れも | 石川県 | 藤村容子 |
(佳)政二 | ||
いつも晴れていた 母さんの手の平 | 静岡県 | 米山明日歌 |
(佳)れいこ | ||
多数派になってようやく雨上がる | 青森県 | まきこ |
佳作44 | いつも晴れていた 母さんの手の平 | 静岡県 | 米山明日歌 |
佳作43 | 雨漏りがするのでおてやわらかにね | 愛知県 | 今村美根子 |
佳作42 | オプションで柔らかい雨ついてくる | 大阪府 | 髙杉力 |
佳作41 | 置き去りにされた花柄アンブレラ | 青森県 | 熊谷冬鼓 |
佳作40 | 雨脚を聞いてる障子閉じたまま | 秋田県 | 斎藤泰子 |
佳作39 | このままになるかもしれぬ雨の音 | 滋賀県 | 重森恒雄 |
佳作38 | すれ違う雨の匂いのする人と | 大阪府 | 笠嶋恵美子 |
佳作37 | いっぱい雨を見てきたネコの潤んだ目 | 青森県 | 笹田かなえ |
佳作36 | 妻である時間の長い長い雨 | 青森県 | 滋野さち |
佳作35 | きのうまで奥に雨雲棲んでいた | 京都府 | 山本知佳子 |
佳作34 | 連れですとふと番傘に目を流す | 秋田県 | 佐藤春子 |
佳作33 | 雨になる前の裸の水を見た | 島根県 | 石橋芳山 |
佳作32 | くわしくはわかりませんが雨ふらし | 福岡県 | 柴田美都 |
佳作31 | 三日月も雷雨も仲間水たまり | 愛知県 | 三好光明 |
佳作30 | 厨房にいまも女の長い雨 | 青森県 | 吉見恵子 |
佳作29 | 降りつづく雨もつぎつぎ違う雨 | 宮崎県 | てつろう |
佳作28 | 水たまりに雨の終わりをたしかめて | 京都府 | 藤本花枝 |
佳作27 | そもそもの雨 100グラム下さい | 大阪府 | 雨森茂喜 |
佳作26 | しあわせな人のフリする雨宿り | 青森県 | 須藤しんのすけ |
佳作25 | 思い出もあるし雨でもだいじょうぶ | 秋田県 | 斎藤泰子 |
佳作24 | 広重が雨を豆腐で供養する | 東京都 | 森砂季 |
佳作23 | 黒アゲハ雨冠を置いてった | 青森県 | 熊谷冬鼓 |
佳作22 | くちびるが あめ と動いて雨になる | 徳島県 | 徳長怜 |
佳作21 | 味方にも敵にもなれる雨である | 青森県 | 渡邊こあき |
佳作20 | こうなると分かっていました雨と雨 | 愛媛県 | 郷田みや |
佳作19 | ただ降っただけなのに怒られた | 秋田県 | 田久保亜蘭 |
佳作18 | つぎつぎと雨を産んでは困らせる | 秋田県 | 赤石ゆう |
佳作17 | ミシン目の雨 家で、家で死にたい | 兵庫県 | 八上桐子 |
佳作16 | 泣きながら地上に落ちた黒い雨 | 京都府 | 西山竹里 |
佳作15 | 降りやまぬ霧雨 母の子であって | 千葉県 | 日下部敦世 |
佳作14 | 雨垂れに沿って生きると決めた猫 | 京都府 | 蟹口和枝 |
佳作13 | 母のいる辺りが雨の境界線 | 兵庫県 | 筏井加代子 |
佳作12 | 家系図はいつから時雨れ始めたか | 奈良県 | ひとり静 |
佳作11 | この匂いやっぱり母は雨だった | 東京都 | 小沢史 |
佳作10 | ばあちゃんが杖でつついて降らす雨 | 滋賀県 | 峯裕見子 |
佳作09 | 雨の日はわたしの猫になりなさい | 滋賀県 | 中島順子 |
佳作08 | 雨ですが仲間に入れてくれますか | 福井県 | みつ木もも花 |
佳作07 | 密室へ時雨をつれてきたんだね | 青森県 | 沢田百合子 |
佳作06 | ある日ふと雨を被ってみたくなる | 愛媛県 | 郷田みや |
佳作05 | 一雨のその一粒がボクだった | 愛知県 | 松長一歩 |
佳作04 | あした降る雨は時給でいいですか | 愛媛県 | 村山浩吉 |
佳作03 | 土砂降りになったら笑う時間です | 青森県 | まみどり |
佳作02 | 雨するか雨しないかを決めなさい | 愛媛県 | 吉松澄子 |
佳作01 | 象は病んで冷たい雨を待っている | 滋賀県 | 峯裕見子 |
秀逸5 | 日曜の雨には頭からはいる | 静岡県 | 米山明日歌 |
秀逸4 | 雨粒のタテヨコ測る仕事です | 大阪府 | 雨森茂喜 |
秀逸3 | 今日播いた種をしずかに濡らす雨 | 大阪府 | 浅井ゆず |
秀逸2 | やむまではじっとみつめているからね | 京都府 | 和田洋子 |
秀逸1 | あの雨の後ろの方にいませんか | 青森県 | 守田啓子 |
特選 | 雨の日は私も雨になっている | 島根県 | 石橋芳山 |
今回の課題は「雨」。珍しくはないが味わいがある。十佐一賞なのでどんな句が集まるか楽しみにしていた。
長く川柳に関わっていると既視感がじゃまをして選が進まなくなってしまう。もし申し出があれば素直に頭を下げるしかないと思っている。
【秀逸】
日曜の雨には頭からはいる
「頭から」がおもしろい。
日曜をこのように感じるのは、日頃まじめに働いているからだろう。
雨の中を走る姿が目に浮かぶ。
雨粒のタテヨコ測る仕事です
報酬があるのが仕事だとすれば、こんな仕事はないだろう。しかし、このように思える仕事はあるかもしれない。
もしかしたら気象関係のお仕事?
今日播いた種をしずかに濡らす雨
「しずかに」がいい。
播き終わったところに雨が降ってきたらどう思うだろう。
よろこんでいる種、ありがたい雨。
やむまではじっとみつめているからね
以前、病棟の窓から小雨の中にうずくまるたくさんの鳩を見ていたことがある。雨が降ると、今でもそのときのことを思いだす。
あの雨の後ろの方にいませんか
並んでいる後ろの方にいる人はいったい誰だろう。それは、いつも一緒にいるあなたではありませんか?
けんかする元気もいいが、二人の仲がいいことは幸せなことだと思う。
【特選】
雨の日は私も雨になっている
晴れの日は晴れに、雨の日は雨に。生き方を押しつけない「私も」という書き方がいい。
雨になってわかること、雨が教えてくれることがある。
佳作44 | 多数派になってようやく雨上がる | 青森県 | まきこ |
佳作43 | 祈らない祈り想定外の雨 | 青森県 | 三浦蒼鬼 |
佳作42 | 耳鳴りと交替します雨の足 | 青森県 | 大黒谷サチエ |
佳作41 | にわか雨街も心も虹が出る | 青森県 | 風情(ふぜい) |
佳作40 | あの雨の後ろの方にいませんか | 青森県 | 守田啓子 |
佳作39 | 今日播いた種をしずかに濡らす雨 | 大阪府 | 浅井ゆず |
佳作38 | 降る雨は左耳にて沼になる | 兵庫県 | 筏井加代子 |
佳作37 | 古傷も感情線も雨催い | 青森県 | きさらぎ彼句吾 |
佳作36 | 天気雨がまんしなくていいんだよ | 熊本県 | いわさき楊子 |
佳作35 | 恥ずかしい蓋からはみでている雨が | 東京都 | 飯島章友 |
佳作34 | 思いきり泣かせて虹をお出しする | 静岡県 | 句ノ一 |
佳作33 | 秋霖を押し分けて来る救急車 | 青森県 | 小野五郎 |
佳作32 | 終盤のところどころの雨やどり | 東京都 | はるのあきこ |
佳作31 | アメンボウの軽さ雨粒は底へと | 愛知県 | 青砥和子 |
佳作30 | どしゃ降りで終わる交響曲五番 | 滋賀県 | 北村幸子 |
佳作29 | 雨ですが仲間に入れてくれますか | 福井県 | みつ木もも花 |
佳作28 | 君が触れサンバのような雨になる | 神奈川県 | 芝岡かんえもん |
佳作27 | 雨の日は私も雨になっている | 島根県 | 石橋芳山 |
佳作26 | 思い出もあるし雨でもだいじょうぶ | 秋田県 | 斎藤泰子 |
佳作25 | 雨音で志功版画はジャズの乗り | 大阪府 | 岸井ふさゑ |
佳作24 | 雨が降る海の記憶を失くさぬように | 青森県 | 吉見恵子 |
佳作23 | そもそもの雨 100グラム下さい | 大阪府 | 雨森茂喜 |
佳作22 | 分母から雨で分子は水浸し | 宮崎県 | てつろう |
佳作21 | 外は雨 多めに付けるハッシュタグ | 大阪府 | 髙杉力 |
佳作20 | つぎつぎと雨を産んでは困らせる | 秋田県 | 赤石ゆう |
佳作19 | 七人の活字中毒雨模様 | 秋田県 | 妹尾凛 |
佳作18 | 家族写真に耳を寄せれば雨の音 | 東京都 | 小沢史 |
佳作17 | 悪役も虹になってるころでしょう | 秋田県 | 佐藤春子 |
佳作16 | 土砂降りになったら笑う時間です | 青森県 | まみどり |
佳作15 | 雨あめ雨ワタシ太平洋になる | 京都府 | 和田洋子 |
佳作14 | 雨はまだ部屋干しシャツの袖の皺 | 岐阜県 | 早川柚香 |
佳作13 | 条約で春雨だけを禁止する | 大阪府 | まつりぺきん |
佳作12 | 雨音も星も担いで行きましょう | 東京都 | はるのあきこ |
佳作11 | ある日ふと雨を被ってみたくなる | 愛媛県 | 郷田みや |
佳作10 | 降りつづく雨もつぎつぎ違う雨 | 宮崎県 | てつろう |
佳作09 | 雨がやんでも大沢たかおに勝たれへん | 北海道 | 河野潤々 |
佳作08 | すこしずつ空をずらしているトンビ | 静岡県 | 句ノ一 |
佳作07 | 母のいる辺りが雨の境界線 | 兵庫県 | 筏井加代子 |
佳作06 | 雨音が君の声音になって 朝 | 青森県 | 葉閑女 |
佳作05 | にわか雨キュキュッとしまるひらめ筋 | 青森県 | 佐藤寿見子 |
佳作04 | 雨粒のタテヨコ測る仕事です | 大阪府 | 雨森茂喜 |
佳作03 | オプションで柔らかい雨ついてくる | 大阪府 | 髙杉力 |
佳作02 | 先人に倣って同じ水たまり | 東京都 | 辻述 |
佳作01 | 日曜の雨には頭からはいる | 静岡県 | 米山明日歌 |
秀逸5 | ばあちゃんが杖でつついて降らす雨 | 滋賀県 | 峯裕見子 |
秀逸4 | 雨になりたかった冷や麦の緑 | 神奈川 | 相原あやめ |
秀逸3 | どしゃ降りも蛇口も夏も君も楽器 | 高知県 | 小野善江 |
秀逸2 | 縦書きの雨はくちどけまで草書 | 鳥取県 | 斉尾くにこ |
秀逸1 | 雨するか雨しないかを決めなさい | 愛媛県 | 吉松澄子 |
特選 | 秋にする竜頭に雨を巻きとって | 兵庫県 | 八上桐子 |
十佐一賞の選考を任せていただいて何年経つのだろう。選ぶという傲慢で不遜な行為(と、思わねばならない)への、本来感じなくても良いはずの後ろめたさのようなモヤモヤを「自分自身が試されているのだ」と言う言い訳で乗り切ってきた。だが、正直に言おう。選は楽しいのだ。作品と向き合い、会話し、驚いたり、笑ったり、しみじみしたりできることが、ひたすら楽しいのだ。今回も十二分に楽しませて頂いた。
秋にする竜頭に雨を巻きとって
特選で選んだ句である。最初から最後まで惹かれた一句で、一字一句惹かれっぱなしであった。一目惚れとはこういうことだ。で、どうしよう。どこがどう良くてどこに惹かれたのか、言う必要があるのだろうか。ほっといてほしい、と言いたいところだけど、そうはいかないので、なんとか説明してみる。まず、竜頭に雨を巻きとる、というフレーズは尋常な表現者には出来ないと思う。うっとりするほど美しいけれど、適度に実務的で自己陶酔感がない。季節が夏から秋に変わる、時間の流れを映像化すればこうなるのだ。この作品の主体は時間なのだから。だからこそ「秋にする」なのだ。
雨するか雨しないかを決めなさい
縦書きの雨はくちどけまで草書
どしゃ降りも蛇口も夏も君も楽器
雨になりたかった冷や麦の緑
ばあちゃんが杖でつついて降らす雨
秀の一は名詞の動詞化という最近よく見かける手法ではあるけれど、ケレン味も嫌味もなくまとまっているのは「雨」という素材とそれを活かしたのは作者の手腕だと思う。
秀のニは「くちどけまで」の措辞一点でこの位置に置いた。
秀の三は「どしゃ降り」「蛇口」「夏」「君」という言葉を力業で楽器に収斂させたところに青春性を感じて切なくなった。
秀の四は個人的にいちばん好きなタイプの作品である。なんと言ってもかわいい。かわいいは最強でかわいいは正義なんである。
秀の五は、ばあちゃんの存在感が圧倒的で、この魔女っぽいばあちゃんの降らす雨が慈雨だろうが豪雨だろうがしかたないなあと思わされた。
佳作44 | 雨の夜 笑うセールスマン オッス | 愛媛県 | 大西進 |
佳作43 | 雨脚を聞いてる障子閉じたまま | 秋田県 | 斎藤泰子 |
佳作42 | 雨粒がぱたりぱたりと猫になる | 東京都 | 森砂季 |
佳作41 | アメフラシ王に来世はなる絶対 | 東京都 | 飯島章友 |
佳作40 | 今日わたし雨冠の下にいる | 大阪府 | 小原由佳 |
佳作39 | どしゃ降りも蛇口も夏も君も楽器 | 高知県 | 小野善江 |
佳作38 | 雨あめ雨ワタシ太平洋になる | 京都府 | 和田洋子 |
佳作37 | きのうまで奥に雨雲棲んでいた | 京都府 | 山本知佳子 |
佳作36 | 雨の日は私も雨になっている | 島根県 | 石橋芳山 |
佳作35 | あの雨の後ろの方にいませんか | 青森県 | 守田啓子 |
佳作34 | 記憶の固執アップアップJAPJAPRUNRUNRUN | 北海道 | 河野潤々 |
佳作33 | 麩菓子に惚れた居場所探している小雨 | 愛媛県 | 大内せつ子 |
佳作32 | ひたすらに遺品の整理こぬか雨 | 滋賀県 | 林操 |
佳作31 | つぎつぎと雨を産んでは困らせる | 秋田県 | 赤石ゆう |
佳作30 | ある日ふと雨を被ってみたくなる | 愛媛県 | 郷田みや |
佳作29 | 思いきり泣かせて虹をお出しする | 静岡県 | 句ノ一 |
佳作28 | トリチウムマジリノ雨ガフルアサハ | 青森県 | 滋野さち |
佳作27 | 条約で春雨だけを禁止する | 大阪府 | まつりぺきん |
佳作26 | ラ・フランスを齧る雨月物語 | 京都府 | 岩根 彰子 |
佳作25 | 耳鳴りと交替します雨の足 | 青森県 | 大黒谷サチエ |
佳作24 | すこしずつ空をずらしているトンビ | 静岡県 | 句ノ一 |
佳作23 | 黒アゲハ雨冠を置いてった | 青森県 | 熊谷冬鼓 |
佳作22 | 次は終点貧乏ゆすりと雨が止む | 愛知県 | 中山惠子 |
佳作21 | ミシン目の雨 家で、家で死にたい | 兵庫県 | 八上桐子 |
佳作20 | 穴開いた傘の上にも雨が降る | 京都府 | 西山竹里 |
佳作19 | 埋めても埋めても降ってくる雨 | 愛媛県 | 藤井皐 |
佳作18 | へこんでるお臍へラテン系の雨 | 鳥取県 | 斉尾くにこ |
佳作17 | 100%の雨母さんは違った | 青森県 | 田中薫 |
佳作16 | 雨垂れとゾイドは同級生の雨 | 北海道 | 澤野優美子 |
佳作15 | 雨粒のくせに嬉しいこと言うね | 東京都 | 嫉妬林檎 |
佳作14 | 雨粒、の、どくん、、、で、見えた、、多島、海、、、 | 三重県 | 西脇祥貴 |
佳作13 | 諸事情があるなら雨になりなさい | 愛媛県 | 村山浩吉 |
佳作12 | 線状降水帯にはパインアメ | 岡山県 | 藤井智史) |
佳作11 | 歌舞伎町タワーに挑む酸性雨 | 福岡県 | もりともみち |
佳作10 | ファンクションキーの七番に雨粒が | 愛知県 | 安藤なみ |
佳作09 | 大豆もおれも百科全書の雨の中 | 三重県 | 西脇祥貴 |
佳作08 | あした降る雨は時給でいいですか | 愛媛県 | 村山浩吉 |
佳作07 | ものはいいよう雨は一色じゃない | 秋田県 | 妹尾凛 |
佳作06 | リゾットのようなしつこい雨が好き | 三重県 | 青砥たかこ |
佳作05 | こうなると分かっていました雨と雨 | 愛媛県 | 郷田みや |
佳作04 | くちびるが あめ と動いて雨になる | 徳島県 | 徳長怜 |
佳作03 | 恥ずかしい蓋からはみでている雨が | 東京都 | 飯島章友 |
佳作02 | 雨するか雨しないかを決めなさい | 愛媛県 | 吉松澄子 |
佳作01 | 雨がやんでも大沢たかおに勝たれへん | 北海道 | 河野潤々 |
秀逸5 | 日曜の雨には頭からはいる | 静岡県 | 米山明日歌 |
秀逸4 | 雨粒のタテヨコ測る仕事です | 大阪府 | 雨森茂喜 |
秀逸3 | そもそもの雨 100グラム下さい | 大阪府 | 雨森茂喜 |
秀逸2 | 死んだふりそれもいいわね傘がある | 青森県 | まみどり |
秀逸1 | 雨なので気をつけをして酔ってます | 長野県 | 西沢葉火 |
特選 | ばあちゃんが杖でつついて降らす雨 | 滋賀県 | 峯裕見子 |
【特選】ばあちゃんが杖でつついて降らす雨
世界のそこだけ止まっている。魔法使いのおばあさんが魔法の杖をつついて雨を降らすのはどこかの童話で読んでことがあるような気がする。しかし、ここはどこにでもいるふつうのばあちゃんだろう。歩行の手助け用杖でつついたって、雨を降らすことなんてできるわけがない。でも、降るかもしれない。知らなかっただけかもしれない。私たちが思っているより世界は不可思議なことがいっぱいあるのだ。
雨なので気をつけをして酔ってます
「雨なので」と雨に責任転嫁しているところがいい。「気をつけ」は学校で先生に言われてしかたなくするのと自分で勝手にするのとはおおきな違いがある。酔っぱらいの気をつけの姿勢は滑稽であり、愛敬がある。雨を見ながらか、雨に打たれながらか。どちらにしても、そのかっこよくない姿を想像して、鼻につんときた。
死んだふりそれもいいわね傘がある
「死んだ」→「ふり」→「それも」→「いいわね」と言葉が言葉を順々にリズムよく追っていって、着地する。そして、→「傘がある」と脱線する。素直ではないのだ。「死んだふり」がなんともかわいくて、切なくなる。
そもそもの雨 100グラム下さい
「そもそも」のわからなさに「そもそも」の味わいがある。それも一字空けて、切れている。何かを、たとえば牛肉を100グラム買ったとしても、ただそれだけのことが、「そもそもの雨」を前に置くことでポエムっぽくなる。ずるいなあと思う。
雨粒のタテヨコ測る仕事です
仕事にはいろいろあるが、「雨粒のタテヨコ測る」は初見である。仕事というもの概念を回転させた。
日曜の雨には頭からはいる
「頭からはいる」と「頭から濡れる」の違いを考えさせられる。
どんな視点で世界を見ているのか。どんな視点で日常を過ごしているのか。身近な「雨」から見えてきた。
佳作44 | やむまではじっとみつめているからね | 京都府 | 和田洋子 |
佳作43 | もどかしい下唇のあまもよい | 京都府 | 河村啓子 |
佳作42 | 仇討ちの決め手はにわか雨でした | 東京都 | 橋元デジタル |
佳作41 | 鬼子母神豪雨注意報発令 | 埼玉県 | 山田こいし |
佳作40 | 髪とけばゆうらり雨月物語 | 青森県 | 沢田百合子 |
佳作39 | 雨冠つけて野原をさまよいぬ | 愛知県 | 中川喜代子 |
佳作38 | 雨の夜 笑うセールスマン オッス | 愛媛県 | 大西進 |
佳作37 | 七人の活字中毒雨模様 | 秋田県 | 妹尾凛 |
佳作36 | 今日播いた種をしずかに濡らす雨 | 大阪府 | 浅井ゆず |
佳作35 | マジョリカの雨が降り出す洗濯機 | 京都府 | 市井美春 |
佳作34 | 雨男という仕事を持っている | 神奈川県 | 下村修 |
佳作33 | 懐かしい映画背中にいつも雨 | 大阪府 | 峯島妙 |
佳作32 | 秋にする竜頭に雨を巻きとって | 兵庫県 | 八上桐子 |
佳作31 | 外は雨 多めに付けるハッシュタグ | 大阪府 | 髙杉力 |
佳作30 | 思いきり泣かせて虹をお出しする | 静岡県 | 句ノ一 |
佳作29 | 雨なので気をつけをして酔ってます | 長野県 | 西沢葉火 |
佳作28 | 雨漏りがするのでおてやわらかにね | 愛知県 | 今村美根子 |
佳作27 | 日曜の雨には頭からはいる | 静岡県 | 米山明日歌 |
佳作26 | 家族写真に耳を寄せれば雨の音 | 東京都 | 小沢史 |
佳作25 | 雨のつく名前嫌いじゃないよパパ | 青森県 | 須藤しんのすけ |
佳作24 | 終盤のところどころの雨やどり | 東京都 | はるのあきこ |
佳作23 | 屈強な雨男どもばかりです | 熊本県 | しまもと莱浮 |
佳作22 | 雨はもう覚悟決めてる金閣寺 | 青森県 | 三浦蒼鬼 |
佳作21 | 雨漏りのひどい一間にある玉座 | 東京都 | 橋元デジタル |
佳作20 | 雨粒の全てに般若波羅蜜多 | 福岡県 | もりともみち |
佳作19 | 死んだふりそれもいいわね傘がある | 青森県 | まみどり |
佳作18 | きのうまで奥に雨雲棲んでいた | 京都府 | 山本知佳子 |
佳作17 | 誰の雨だろう炎上しちゃってる | 千葉県 | 尾崎良仁 |
佳作16 | それはさておき姉は雨降りお月さま | 福岡県 | 柴田美都 |
佳作15 | 雨ですが仲間に入れてくれますか | 福井県 | みつ木もも花 |
佳作14 | つぎつぎと雨を産んでは困らせる | 秋田県 | 赤石ゆう |
佳作13 | 黒アゲハ雨冠を置いてった | 青森県 | 熊谷冬鼓 |
佳作12 | 密室へ時雨をつれてきたんだね | 青森県 | 沢田百合子 |
佳作11 | ただ降っただけなのに怒られた | 秋田県 | 田久保亜蘭 |
佳作10 | 雨粒のタテヨコ測る仕事です | 大阪府 | 雨森茂喜 |
佳作09 | 雨するか雨しないかを決めなさい | 愛媛県 | 吉松澄子 |
佳作08 | 条約で春雨だけを禁止する | 大阪府 | まつりぺきん |
佳作07 | アメフラシ王に来世はなる絶対 | 東京都 | 飯島章友 |
佳作06 | 黄金の雨をダナエと分かち合う | 兵庫県 | 黒田弥生 |
佳作05 | 責任はてるてる坊主に取らせよう | 北海道 | 浪越靖政 |
佳作04 | 夜で雨でさて始めるか大僧正 | 愛知県 | 青砥和子 |
佳作03 | すっぽんのぽんのあたりが効いて雨 | 愛知県 | 中山惠子 |
佳作02 | くちびるが あめ と動いて雨になる | 徳島県 | 徳長怜 |
佳作01 | 雨の日はわたしの猫になりなさい | 滋賀県 | 中島順子 |
秀逸5 | あした降る雨は時給でいいですか | 愛媛県 | 村山浩吉 |
秀逸4 | 雨がやんでも大沢たかおに勝たれへん | 北海道 | 河野潤々 |
秀逸3 | ちょうどいい孤独 夕立と歩く | 秋田県 | 佐渡真紀子 |
秀逸2 | あの雨の後ろの方にいませんか | 青森県 | 守田啓子 |
秀逸1 | 雨粒のくせに嬉しいこと言うね | 東京都 | 嫉妬林檎 |
特選 | ばあちゃんが杖でつついて降らす雨 | 滋賀県 | 峯裕見子 |
十佐一賞に集まった「雨」の作品は、おとなしく軽く静かで、冒険的な作品は少なかったように思います。それはすこし物足りない感じがするおとなしさ、軽さ、静かさであったような気がします。私の選もそうなった感があります。
そのなかで、力強くまた異様さを感じさせる特選句でした。
これまで選者を務めさせていただいていますが、私が特選にする作品は何かが起きる(こうまで言っていいのかどうか)、起こさせることが何度かあったように思います。ですから、特選句にはいつも悩みます。今回は、いっぺんで決まりました。それはそれで悩みました。たぶんこの作品はどなたも選んでいないかもしれない、私だけが特選ということは(ジャッジには責任が伴うので)、批判を浴びるかもしれないというコワサをつきつけられました。
ばあちゃんが杖でつついて降らす雨
この「ばあちゃん」とはいったい何者だろうか。杖をついている足が不自由などこにでもいるばあちゃんのようであるが、呪術師的である。そして義憤に満ちているようでもある。ばあちゃんの杖はどこまでも伸びる杖だ。ばあちゃんが「伸びよ!」と言えば天まで伸びて天に穴を開け、雨を降らせることなど朝飯前なのである。
日照りのときは民や動植物のための雨を降らせ、憤懣やるかたない人間どもの行いには天罰の雨を降らせることもできるのである。この作品の「雨」は自然界における天候や気候という意味をはるかに凌いでおり、魔術的で異様な力を感じさせられた。自立するばあちゃんのなんとかっこういいこと!
「雨粒のくせに」というどこか江戸者のべらんめえ口調の裏にある優しさを素直に感じられる。「雨の後ろの方」とはどこで、そこには何がいるというのか。すべてがあいまいで不思議な空間が、なんでもない言葉でできあがった。「夕立」なのに走らないでゆっくり歩いて帰る。それはそばにいい孤独がいるから。「大沢たかお」に勝とうとすることの無理無体。「雨」と「時給」の組み合わせで、現代の経済の仕組みまで考えさせられた。
佳作44 | ファンクションキーの七番に雨粒が | 愛知県 | 安藤なみ |
佳作43 | 雨粒のひとつひとつに味がある | 滋賀県 | 林操 |
佳作42 | 雨がやんでも大沢たかおに勝たれへん | 北海道 | 河野潤々 |
佳作41 | 夕立ちのしんがりで聴くクル・セ・ママ | 北海道 | 落合魯忠 |
佳作40 | 置き去りにされた花柄アンブレラ | 青森県 | 熊谷冬鼓 |
佳作39 | ちょうどいい孤独 夕立と歩く | 秋田県 | 佐渡真紀子 |
佳作38 | 梅雨に紛れ込む女偏獣偏 | 青森県 | 千葉かほる |
佳作37 | ヴィーナスの右手は雨傘と消えた | 神奈川 | 相原あやめ |
佳作36 | 黄金の雨をダナエと分かち合う | 兵庫県 | 黒田弥生 |
佳作35 | 雨粒の頭突きを喰らえ生きたまえ | 愛媛県 | 吉原美佐 |
佳作34 | 耳鳴りと交替します雨の足 | 青森県 | 大黒谷サチエ |
佳作33 | 足跡を残して雨が生えている | 長野県 | 西沢葉火 |
佳作32 | このままになるかもしれぬ雨の音 | 滋賀県 | 重森恒雄 |
佳作31 | 真夜中の雨 疼きだす左の乳房 | 愛媛県 | 田中なお |
佳作30 | 雨だれをコピペしているアメフラシ | 大阪府 | 岸井ふさゑ |
佳作29 | 雨の午後二時四十分のドーナツ屋 | 愛知県 | 猫田千恵子 |
佳作28 | ヒトサジノ雨ヲシニミズトシテイク | 青森県 | jessica |
佳作27 | へこんでるお臍へラテン系の雨 | 鳥取県 | 斉尾くにこ |
佳作26 | ただ降っただけなのに怒られた | 秋田県 | 田久保亜蘭 |
佳作25 | 雨なので気をつけをして酔ってます | 長野県 | 西沢葉火 |
佳作24 | 雨音の中であなたはサブリミナル | 愛知県 | 長岡みゆき |
佳作23 | 哲学に雨かんむりがちゃちゃ入れる | 兵庫県 | 妻木寿美代 |
佳作22 | 縦書きの雨はくちどけまで草書 | 鳥取県 | 斉尾くにこ |
佳作21 | 家系図はいつから時雨れ始めたか | 奈良県 | ひとり静 |
佳作20 | にわか雨キュキュッとしまるひらめ筋 | 青森県 | 佐藤寿見子 |
佳作19 | 条約で春雨だけを禁止する | 大阪府 | まつりぺきん |
佳作18 | やむまでは重機のショパン・コンクール | 熊本県 | しまもと莱浮 |
佳作17 | ひとりになってからの雨の時刻表 | 福井県 | みつ木もも花 |
佳作16 | つぎつぎと雨を産んでは困らせる | 秋田県 | 赤石ゆう |
佳作15 | 秋霖を合図ににんべんに戻る | 北海道 | 四ツ屋いずみ |
佳作14 | 雨が好きだって言ったじゃない毛豆 | 秋田県 | 一帆 |
佳作13 | いっぱい雨を見てきたネコの潤んだ目 | 青森県 | 笹田かなえ |
佳作12 | あの雨の後ろの方にいませんか | 青森県 | 守田啓子 |
佳作11 | 恥ずかしい蓋からはみでている雨が | 東京都 | 飯島章友 |
佳作10 | 家康がなんじゃもんじゃと漫ろ雨 | 静岡県 | 佐野由利子 |
佳作09 | 雨の日はわたしの猫になりなさい | 滋賀県 | 中島順子 |
佳作08 | 黒アゲハ雨冠を置いてった | 青森県 | 熊谷冬鼓 |
佳作07 | 降る雨は左耳にて沼になる | 兵庫県 | 筏井加代子 |
佳作06 | 雨男という仕事を持っている | 神奈川県 | 下村修 |
佳作05 | 小糠雨アブラカタブラ風の街 | 青森県 | 桜田冨士江 |
佳作04 | 雨の絵を圧縮した上で泳ぐ | 愛媛県 | 藤井皐 |
佳作03 | 諸事情があるなら雨になりなさい | 愛媛県 | 村山浩吉 |
佳作02 | 水色を忘れた雨の失態図 | 京都府 | 木戸利枝 |
佳作01 | ラ・フランスを齧る雨月物語 | 京都府 | 岩根 彰子 |
秀逸5 | 雨粒のくせに嬉しいこと言うね | 東京都 | 嫉妬林檎 |
秀逸4 | なにぬねと降る雨ぬれたくはないな | 大阪府 | 浅井ゆず |
秀逸3 | 日曜の雨には頭からはいる | 静岡県 | 米山明日歌 |
秀逸2 | 雨するか雨しないかを決めなさい | 愛媛県 | 吉松澄子 |
秀逸1 | あした降る雨は時給でいいですか | 愛媛県 | 村山浩吉 |
特選 | 夜で雨でさて始めるか大僧正 | 愛知県 | 青砥和子 |
私は、体(脳以外)のあちらこちらに川柳怪獣を飼っています。彼らは感動的な作品に出会うと、大声で叫びます。そんな彼らの叫び声に従って選をしました。
雨粒のくせに嬉しいこと言うね
雨粒が作者のツボを熟知していて、お気に入りの褒め方を。まんざらでもない様子で、頬を思わず緩めた作者の顔が目に浮かびます。雨粒と作者は相思相愛。
「くせに」とか言いながら愛情あふれる暖かいお言葉。
なにぬねのと降る雨ぬれたくはないな
なにぬねのという降り方を想像していると私も段々濡れたくないと思い始めました。下の句にもぬ、な、な、の音を入れ、句全体がもう、「ナ行」でびちょびちょ‼
日曜の雨には頭から入る
えっ?どこへ?雨の中へ?傘の中へ?日曜以外だったら、足から?まあ、たまの休みですからお好きな方法で。
雨するか雨しないかを決めなさい
いつの頃からか定着した、名詞+するの言葉。ぴったり決まりました。単に雨が降る、以上に色々の意味を包み込んでいて壺りました。「ハイ、決めました。雨します」そして、その後で、「ランチしましょう」
あした降る雨は時給でいいですか
時事的川柳なのでしょうか?時給で、ということは、正社員の身分ではなく、パートタイマーのような臨時社員的身分として、ということですね。どこか、不景気な印象。いやいや、時給って、現代的で気楽そう。でも、そもそも何で雨に給料を?
夜で雨でさて始めるか大僧正
夜、そして、雨限定の。そんな怪しげな夜に、これまた偉い、偉い大僧正を登場させ、何をしようとするのでしょうか。
碁を打つ、酒盛り、いやいやもっと、反社会的な、よからぬ企みを想像します。
とにもかくにも「大僧正」で特選獲得。
*川柳怪獣へのメールお待ちしています。 amsen@gaea.ocn.ne.jp
佳作44 | 雨でしたファーストキスもお別れも | 石川県 | 藤村容子 |
佳作43 | 妻である時間の長い長い雨 | 青森県 | 滋野さち |
佳作42 | 天高く夫婦の仲はざんざ降り | 東京都 | 上原稔 |
佳作41 | 古傷も感情線も雨催い | 青森県 | きさらぎ彼句吾 |
佳作40 | それはさておき姉は雨降りお月さま | 福岡県 | 柴田美都 |
佳作39 | もどかしい下唇のあまもよい | 京都府 | 河村啓子 |
佳作38 | オプションで柔らかい雨ついてくる | 大阪府 | 髙杉力 |
佳作37 | 雨漏りがするのでおてやわらかにね | 愛知県 | 今村美根子 |
佳作36 | 音もなく濡らすあなたを好きな雨 | 埼玉県 | 織田和子 |
佳作35 | 片恋の傘の石突伝う雨 | 滋賀県 | 谷 優 |
佳作34 | 雨はもう覚悟決めてる金閣寺 | 青森県 | 三浦蒼鬼 |
佳作33 | 雨だれをコピペしているアメフラシ | 大阪府 | 岸井ふさゑ |
佳作32 | 雨なので気をつけをして酔ってます | 長野県 | 西沢葉火 |
佳作31 | 雨が降る海の記憶を失くさぬように | 青森県 | 吉見恵子 |
佳作30 | 今日わたし雨冠の下にいる | 大阪府 | 小原由佳 |
佳作29 | また虹が出たりするんだひょっこりと | 秋田県 | 佐々木智恵子 |
佳作28 | しあわせな人のフリする雨宿り | 青森県 | 須藤しんのすけ |
佳作27 | 仇討ちの決め手はにわか雨でした | 東京都 | 橋元デジタル |
佳作26 | 雨音も星も担いで行きましょう | 東京都 | はるのあきこ |
佳作25 | ホント・マジ・ウソ・ヤバに降る天気雨 | 岡山県 | 小林茂子 |
佳作24 | 「巴里は雨」唱えて会話に入ってく | 愛知県 | 安藤なみ |
佳作23 | この雨を強いて言うなら加トちゃんぺ | 青森県 | jessica |
佳作22 | 雨の午後二時四十分のドーナツ屋 | 愛知県 | 猫田千恵子 |
佳作21 | どしゃ降りで終わる交響曲五番 | 滋賀県 | 北村幸子 |
佳作20 | 黒アゲハ雨冠を置いてった | 青森県 | 熊谷冬鼓 |
佳作19 | どしゃぶりねもう苦いもの食べられる | 東京都 | 藤田めぐみ |
佳作18 | 悪役も虹になってるころでしょう | 秋田県 | 佐藤春子 |
佳作17 | 家系図はいつから時雨れ始めたか | 奈良県 | ひとり静 |
佳作16 | ヴィーナスの右手は雨傘と消えた | 神奈川 | 相原あやめ |
佳作15 | 雨ですが仲間に入れてくれますか | 福井県 | みつ木もも花 |
佳作14 | なにぬねと降る雨ぬれたくはないな | 大阪府 | 浅井ゆず |
佳作13 | 日曜の雨には頭からはいる | 静岡県 | 米山明日歌 |
佳作12 | 祈らない祈り想定外の雨 | 青森県 | 三浦蒼鬼 |
佳作11 | 梅雨明けや雨垂れたちとハグをする | 神奈川県 | 芝岡かんえもん |
佳作10 | 雨の日はわたしの猫になりなさい | 滋賀県 | 中島順子 |
佳作09 | 思いきり泣かせて虹をお出しする | 静岡県 | 句ノ一 |
佳作08 | 足跡を残して雨が生えている | 長野県 | 西沢葉火 |
佳作07 | 雨粒の全てに般若波羅蜜多 | 福岡県 | もりともみち |
佳作06 | ばあちゃんが杖でつついて降らす雨 | 滋賀県 | 峯裕見子 |
佳作05 | 雨の日は私も雨になっている | 島根県 | 石橋芳山 |
佳作04 | 縦書きの雨はくちどけまで草書 | 鳥取県 | 斉尾くにこ |
佳作03 | 誰の雨だろう炎上しちゃってる | 千葉県 | 尾崎良仁 |
佳作02 | 雨音を口にふくんだままのキス | 滋賀県 | 北村幸子 |
佳作01 | 土砂降りになったら笑う時間です | 青森県 | まみどり |
秀逸5 | 雨するか雨しないかを決めなさい | 愛媛県 | 吉松澄子 |
秀逸4 | 雨音が君の声音になって 朝 | 青森県 | 葉閑女 |
秀逸3 | 雨粒、の、どくん、、、で、見えた、、多島、海、、、 | 三重県 | 西脇祥貴 |
秀逸2 | くちびるが あめ と動いて雨になる | 徳島県 | 徳長怜 |
秀逸1 | 止まぬ雨主音の「ド」から始まった | 高知県 | 大野美恵 |
特選 | 雨雲をあやつる虹色のネイル | 大阪府 | 宮井いずみ |
第28回杉野十佐一賞にたくさんのご応募をいただき、誠にありがとうございました。
選者の皆様方、お忙しい中時間を割いて選をしていただき深く感謝申し上げます。
応募数は、前々回が320句、前回が322句、今回は333句となりました。
わずかずつではありますが増加していて主催者としてはありがたくうれしく思っております。
今回の題「雨」ですが、ありふれたごく一般的な題で、以前何回も作ったことがあるという方も多いでしょう。
過去に作ったことのない方は作りやすく、以前作ったことがある方は作りづらい、そんな題だったかもしれません。
そんな中で上位に入選するためには、普通とは違った発想が必要ですが「言うは易く行うは難し」であります。
私が秀逸3に選んだのは、読点が雨粒のようにちりばめられた不思議な光景の次の句。
雨粒、の、どくん、、、で、見えた、、多島、海、、、
秀逸2は、既視感があると言われそうな句ですが、「あめ」と言う唇の形が見えてくる次の句。
くちびるが あめ と動いて雨になる
秀逸1は、雨を音楽としてとらえた、これからどんな光景が見られるのだろうと思わせる次の句。
止まぬ雨主音の「ド」から始まった
そして、特選は次の句。
雨雲をあやつる虹色のネイル
「虹色のネイル」というのは、虹色にネイルアートを施した爪のことでしょう。おそらく、両手の指の爪10本全部が「虹色」に塗られ、ぬめりを帯びている。その指が妖しく「雨雲をあやつる」。
これは現実にはあり得ない光景です。「幻想」を読者に見せる川柳です。
私は「川柳はイリュージョンである」と思っていまして、この句は正にイリュージョンだと思います。
カラフルな何とも妖しいイリュージョンに惹かれてしまいました。
【北海道】 | 落合魯忠・河野潤々・澤野優美子・浪越靖政・四ツ屋いずみ |
【青森県】 | 石澤はる子・稲見則彦・井上健蔵・小野五郎・川嶋翔・きさらぎ彼句吾・工藤麦の芽・熊谷冬鼓・坂本清乃・桜田冨士江・笹田かなえ・笹田隆志・佐藤雅秀・佐藤寿見子・沢田百合子・jessica・滋野さち・須藤しんのすけ・大黒谷サチエ・高木まあこ・田中薫・旅男・千葉かほる・夏草ふぶき・奈良一艘・にじの真美・風情・まきこ・まみどり・三浦蒼鬼・村井規子・村上あつこ・守田啓子・葉閑女・𠮷田州花・吉見恵子・渡邊こあき |
【宮城県】 | 勝又明城・木立時雨 |
【秋田県】 | 赤石ゆう・一帆・斎藤泰子・佐々木智恵子・佐藤春子・佐渡真紀子・妹尾凛・田久保亜蘭 |
【群馬県】 | 白衣洞正美 |
【埼玉県】 | 織田和子・野邊富優葉・山田こいし |
【千葉県】 | 尾崎良仁・日下部敦世 |
【東京都】 | 上原 稔・小沢 史・こしパン・飯島章友・嫉妬林檎・辻述・橋元デジタル・はるのあきこ・藤田めぐみ・丸山修平・森砂季 |
【神奈川県】 | 相原あやめ・芝岡かんえもん・下村 修・太代祐一 |
【新潟県】 | 谷沢けい子 |
【富山県】 | 岡野 満・金瀬達雄 |
【石川県】 | 石倉多美子・岡本 聡・中川洋子・藤村容子 |
【福井県】 | 酒井暁美・みつ木もも花 |
【長野県】 | 西沢葉火・丸山健三 |
【岐阜県】 | 早川柚香 |
【静岡県】 | 句ノ一・佐野由利子・中前棋人・春爺・米山明日歌 |
【愛知県】 | 青砥和子・安藤なみ・今村美根子・位田仁美・長岡みゆき・中川喜代子・中山惠子・猫田千恵子・松長一歩・三好光明・安井紀代子・瑠珂 |
【三重県】 | 青砥たかこ・西脇祥貴・山口亜都子 |
【滋賀県】 | 川口利江・北村幸子・重森恒雄・谷優・中島順子・林操・峯裕見子 |
【京都府】 | 市井美春・岩根彰子・蟹口和枝・河村啓子・木戸利枝・西山竹里・藤本花枝・山本知佳子・和田洋子 |
【大阪府】 | 浅井ゆず・雨森茂喜・小川佳恵・小原由佳・笠嶋恵美子・岸井ふさゑ・里山はるえ・髙杉 力・まつりぺきん・弘津秋の子・峯島 妙・宮井いずみ |
【兵庫県】 | 筏井加代子・大山ありる・黒田弥生・末盛ひかる・妻木寿美代・八上桐子 |
【奈良県】 | ひとり静・柳本惠子 |
【鳥取県】 | 斉尾くにこ |
【島根県】 | 石橋芳山 |
【岡山県】 | 小林茂子・藤井智史・八木五十八 |
【広島県】 | 笹重耕三 |
【徳島県】 | 徳長 怜 |
【愛媛県】 | 青野 舞・大内せつ子・大西 進・郷田みや・田中なお・土居新山・藤井皐・湊圭伍・村山浩吉・吉原美佐・吉松澄子 |
【高知県】 | 大野美恵・小野善江・森乃 鈴 |
【福岡県】 | 柴田美都・もりともみち |
【熊本県】 | いわさき楊子・しまもと莱浮 |
【宮崎県】 | てつろう |